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みんなの「映画」ブログ

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『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』、真の相貌?
『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』、真の相貌? 映画が始まってしばらくすると、ああ、そういえばそうだった、と僕たちは思い出します。 と言っても前作のあらすじや登場人物たちの関係ではありません。 スローモーションを多用しながら、直前に仕掛けられたからくりの種明かしやホームズの頭の中の未来予想を展開する作風です。 正直なところ疲れるんですが(笑)、これがガイ・リッチー監督のスタイルのようですから異を唱えるのはやめておきましょう。 ...続きを見る

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2012/04/16 15:43
『ヒューゴの不思議な発明』、映画の可能性を信じること。
『ヒューゴの不思議な発明』、映画の可能性を信じること。 マーティン・スコセッシ監督が3D作品を撮ると聞いて、何となく違和感を覚えたのは僕だけではないでしょう。 というのも、あくまでこちらが思い描いていた勝手なスコセッシ像ですが、彼は3D作品からは最も遠い作家の一人だったように思えるからです。 もちろん作風から受ける印象ではなく映画との向き合い方の問題なんですが。 ...続きを見る

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2012/03/24 10:52
『ロボジー』、種明かしの功罪
『ロボジー』、種明かしの功罪 良くも悪くも某在京TV局と某大手広告代理店のタッグが作り出す典型的な映像作品ですね。 ロードショー公開からDVD・BDのリリース、某衛星映画チャンネルでの放映、そして最終的には当のTV局での放映と、一連の商業ラインを意識して撮られている、という意味です。 だから実はこの映画にとって最も収まりのいい場所は、111分の作品を90分程度に編集した地上波放送ということになるのでしょう。 もちろんそれはそれでいっこうに構わないわけです。 そうして資金が回収されれば、とりあえず新たな映画が作られる余... ...続きを見る

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2012/03/23 12:29
『J・エドガー』、愉しい時間
『J・エドガー』、愉しい時間 いやあ、何とも愉しい映画です。 最近のイーストウッド作品はほんとうに愉しい。 それぞれにその理由は異なりますが、愉しくなければ映画じゃない、そんな思いは共通しているように感じられます。 恋愛映画だろうとギャング映画だろうとプロパガンダ映画だろうとコメディー映画だろうと、どんな映画も愉しくなければいけない。 映画館とは作品のジャンルに関係なく、愉しい時間を過ごす場所なのです。 ...続きを見る

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2012/03/22 18:44
『メランコリア』、称賛されこそすれ…。
『メランコリア』、称賛されこそすれ…。 滞っていた映画レビューを少しずつアップしていきます。 まずはラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』です。 ...続きを見る

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2012/03/20 12:02
映画『ヒミズ』、気狂いピエロの末裔
映画『ヒミズ』、気狂いピエロの末裔 主人公のひとり、住田佑一(染谷将太)は、自堕落な母親に代わってボート屋を営んでいます。 そのボート屋の前には茶沢景子(二階堂ふみ)の言葉を借りれば「野趣あふれる」池があるんですね。 そしてその池の中央あたりに、震災で沈んだらしい小屋が半分だけその姿を露わにしているわけです。 ...続きを見る

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2012/02/18 12:50
『月光ノ仮面』、石原さとみ嬢の太もも
『月光ノ仮面』、石原さとみ嬢の太もも 落語家・森乃家うさぎもどきの男(板尾創路)が戦争後数年を経て戦地から復員するところから物語は始まります。 戦死したと思っていたうさぎが健忘症になって戻ってきた、というわけで師匠を初め、みんなが彼に振り回されることになるわけです。 でも物語が進み、彼の回想が重なるうち、健忘症なのは彼ではなくて周囲の者たちだということが僕たちにはわかってきます。 何しろ、彼は本物のうさぎ(浅野忠信)とは似ても似つかぬ男なんですね。 二人並んでみれば間違えようがないはずで、だとすれば誰もがうさぎの顔なんて覚え... ...続きを見る

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2012/02/03 21:20
テオ・アンゲロプロス監督の死を悼む
テオ・アンゲロプロス監督の死を悼む インフルエンザの熱にうなされながら仕事に苦悶するうち、テオ・アンゲロプロス監督の訃報が伝わりました。 24日、事故死だったそうです。 ...続きを見る

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2012/01/29 10:48
『永遠の僕たち』、安息なき記憶
『永遠の僕たち』、安息なき記憶 この作品が亡きデニス・ホッパーに捧げられているのは、彼の息子ヘンリーが出演しているからではないでしょう。 むしろ逆だと考えるべきだと思います。 あの『イージー・ライダー』(1969年、デニス・ホッパー監督)や『アメリカの友人』(1977年、ヴィム・ヴェンダース監督)でバイクや車を疾走させたデニス・ホッパーの息子に、車恐怖症の少年を演じさせることの微笑ましい悪意がここにはある。 その点だけでも大いに僕たちはこの映画に好感を抱くわけです。 イーノック(ヘンリー・ホッパー)の両親が事故死してい... ...続きを見る

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2012/01/07 21:36
映画『ロンドン・ブルバード』、できすぎる手前
映画『ロンドン・ブルバード』、できすぎる手前 あけましておめでとうございます。 今年も映画レビューを続けますので、どうぞよろしくおつきあいください。 昨年は残念ながら60本の新作映画しかレビューできませんでした。 ですので生意気に2011年の映画回顧、なんて記事をアップするのは控え(笑)、今年はいきなりレビュー記事からスタートすることにします。 ...続きを見る

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2012/01/05 12:28
『50/50 フィフティ・フィフティ』の微笑み返し
『50/50 フィフティ・フィフティ』の微笑み返し 年明けには見に行くだろう『永遠の僕たち』といい、公開中の『私だけのハッピー・エンディング』といい、死に至る病に冒された若者の映画が続けて公開されているのは年末だからでしょうか? まさかね(笑)。 軽口はさておき、今回のレヴューは5年後生存確率50%の癌に罹った若者の映画、『50/50 フィフティ・フィフティ』です。 ...続きを見る

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2011/12/31 10:46
『サラの鍵』、虐げられた女たちの系譜
『サラの鍵』、虐げられた女たちの系譜 父母と引き離され、いったんボーヌにある子供だけの収容所に入れられたサラ(メリュジーヌ・マヤンス)は、そこでレイチェル(サラ・パー)と知り合います。 サラは彼女に弟のミシェルを納戸に閉じ込めてきてしまったことを打ち明け、一緒に収容所から脱走する計画を立てるんですね。 そして彼女たちは、監視兵の助けもあって収容所を脱出することに成功します。 鉄条網を潜り抜け、葦の原を駆けていくふたり。 その様子がどこか『カラー・パープル』(1985年、スティーヴン・スピルバーグ監督)の姉妹を思い起こさせるわ... ...続きを見る

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2011/12/30 17:52
映画『ワイルド7』、ユキ=フカキョンの不調和感
映画『ワイルド7』、ユキ=フカキョンの不調和感 少年の頃、毎週少年キングに掲載される『ワイルド7』を楽しみに読んでいたファンのひとりです。 であれば、やはりこの期に及んでの実写化に違和感を覚えつつも、映画館に足を運ばないわけにはいきません。 もちろんだからといって原作の漫画と映画を比較しようという気持ちはまったくないんですが。 ...続きを見る

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2011/12/28 09:51
映画『リアル・スティール』、ロボットは鏡の中の自分を見たか?
映画『リアル・スティール』、ロボットは鏡の中の自分を見たか? 映画が終盤を迎える頃、興味深いシーンがあります。 WRB(World Robt Boxing League)公式戦の前座試合に出場することになって、チャーリー(ヒュー・ジャックマン)とマックス(ダコタ・ゴヨ)がロボットとともに控え室にいる。 そこへチャンピオン・ロボットであるゼウスの所有者ファラ・レンコヴァ(オルガ・フォンダ)から呼び出しがあり、ふたりは彼女の特別室に向かうんですね。 ロボットはただひとり(?)控え室に残されます。 そのときロボットが鏡に映る自分に顔を向ける(ように見える... ...続きを見る

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2011/12/26 11:21
映画『源氏物語 千年の謎』の桜の木、そして森田監督追悼
映画『源氏物語 千年の謎』の桜の木、そして森田監督追悼 森田芳光監督の訃報が入ってきました。 昨夜のことだとか。 とても急な死で驚いております。 61歳、すでに人生80年の時代ですから、早すぎる死と言ってもいいのではないでしょうか。 僕は森田監督のあまり良い観客ではありません。 監督の作品を追いかけたのはたぶん『それから』(1985年)あたりまででしょう。 特に90年代、僕が映画から少し離れた時期を境に、森田監督の作品からは遠ざかってしまいました。 それでもたとえば若き日に『家族ゲーム』(1983年)を観た者としては、やはりその死の報に... ...続きを見る

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2011/12/21 17:36
『恋の罪』、生態図鑑の先
『恋の罪』、生態図鑑の先 映画の終盤に差しかかったところで、美津子(冨樫真)がいずみ(神楽坂恵)に向かって「言葉の肉体とは意味だ」というような言葉を投げます。 だからといって、まさか園子温監督が「言葉の肉体=意味」という等式を本当に信じているわけじゃないでしょう。 いや、信じていないからこそ女優に言わせることができたわけで、信じていたらできなかったんじゃないか。 そんな気がします。 ...続きを見る

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2011/12/17 21:30
『マネーボール』、紙コップにガム
『マネーボール』、紙コップにガム この映画を見ながら考えていたのは、ひと昔、いやもっと以前なら、主人公のビリー(ブラッド・ピット)を演じていたのはロバート・レッドフォードだったかもしれないな、ということでした。 と言っても、特に理由があったわけではありません。 ビリーを演じるブラッド・ピットにレッドフォードを重ね合わせてみたら、とりたてて違和感を覚えなかったというだけのことです。 聞くところによるとレッドフォードは野球の特待生としてコロラド大学に進学した経歴の持ち主で、それならビリーを演じるのもさほど的外れじゃないんじゃな... ...続きを見る

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2011/12/16 18:55
『ラビット・ホール』、夫はアスホール
『ラビット・ホール』、夫はアスホール 息子を事故で亡くしたベッカ(ニコール・キッドマン)は、ある日事故の当事者である高校生ジェイソン(マイルズ・テラー)を見かけます。 その後、失った者として生きているベッカと失わせた者として生きているジェイソンは、次第に心を通わせることになるわけです。 で、ジェイソンは自分が描いていたSF漫画を完成させて、それを楽しみにしていたベッカのもとへ届けに来る。 そのとき初めて二人の関係を知ったベッカの夫ハウイー(アーロン・エッカート)は、度を失ってジェイソンに当り散らすんですね。 そこでたまりかね... ...続きを見る

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2011/11/30 18:21
『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』、ブルボン家の血筋?
『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』、ブルボン家の血筋? 僕のような観客にとってこの作品を見る動機のひとつはミラ・ジョヴォビッチでしょう。 もちろん彼女が主役の映画ではありませんから、『バイオハザード』シリーズほどのアクションを望んだりはしません。 その程度の期待でミラの登場シーンを見れば、十分に楽しめる作品だと言えそうです。 ...続きを見る

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2011/11/26 08:34
『ミッション:8ミニッツ』、記憶と現実
『ミッション:8ミニッツ』、記憶と現実 記憶と夢の違いはあれ、他人の脳の中がドラマの主舞台という意味では、『インセプション』に似た映画だと言えそうです。 その主舞台である記憶あるいは夢を、どのように現実と混濁させるか。 そこが作り手にとって最も頭を悩ませるところなのかもしれません。 実際『インセプション』では、そのためにいくつもの仕掛けが用意されていたわけですね。 ...続きを見る

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2011/11/13 09:49
『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』、不思議な逆転現象
『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』、不思議な逆転現象 『猿の惑星』(1968年、フランクリン・J・シャフナー監督)は必ずしも優れた映画というわけではなかったと思います。 でもなぜか僕たちはこの映画に思い入れがある。 実際のところ、好評を得た『猿の惑星』には続編(『続・猿の惑星』1970年、テッド・ポスト監督)が作られ、さらに猿の惑星誕生に至る歴史を描くべく、『新・猿の惑星』(1971年、ドン・テイラー監督)とそれに続く2本の続編(『猿の惑星 征服』1972年、『最後の猿の惑星』1973年、ともにJ・リー・トンプソン監督)、つまり計5本のシリーズ... ...続きを見る

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2011/11/06 13:21
『ツレがうつになりまして。』、亀が亀
『ツレがうつになりまして。』、亀が亀 またまた一ヶ月ほど更新が止まってしまいました。 これじゃweeklyじゃなくてmonthlyじゃん。 今のペースでは、年間100本の映画をレビューするという目標を達成できそうにありません。 今年もまだ二ヶ月ありますが、早々に白旗を揚げておきます。 一本でも多くレビューしたいとは思いつつ。。。 ...続きを見る

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2011/11/02 12:27
『ミケランジェロの暗号』、一番の謎
『ミケランジェロの暗号』、一番の謎 ブログの更新が滞っていましたので、しばらく前に見た作品のレビューです。 ...続きを見る

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2011/10/04 16:03
『人生、ここにあり!』、境界?
『人生、ここにあり!』、境界? 精神的な「病」を持つとされる人々が、ときに驚くべき才能を発揮することがあります。 それはある意味当然とも言えて、「正常さ」とはあくまで相対的で一方的なものでしかないからですね。 ですから「健常者」であれ「患者」であれ、その差は基本的には単に個体差の問題に還元されるわけです。 ...続きを見る

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2011/09/12 11:13
『シャンハイ』、見返り美人
『シャンハイ』、見返り美人 ヒロインのアンナ(コン・リー)が画面奥に歩いていって、こちらを振り向くシーンが何度かあります。 見返り美人とはよく言ったもので、このときのコン・リーが美しい。 こうしたサスペンス風の作品には彼女のようなちょっと癖のある美人がとてもよく似合います。 上海裏世界のボス(ランティン、チョウ・ユンファ)の妻であり、そして米諜報員(ポール、ジョン・キューザック)を翻弄する女。 コン・リーのような女優にはぴったりの役どころじゃないでしょうか。 ...続きを見る

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2011/09/11 10:29
映画『うさぎドロップ』、黒衣の芦田愛菜ちゃん
映画『うさぎドロップ』、黒衣の芦田愛菜ちゃん 人気コミックの映画化に今をときめく松山ケンイチくん、芦田愛菜ちゃんを配し、さらに売り出し中の桐谷美玲ちゃんが出演しているとなれば、話題になって不思議はないわけです。 個人的には主人公の大吉に松山ケンイチくんというのは少し意外な感じがしたんですが、コミックと映画は別物ですから、これはこれでいいんでしょう。 ...続きを見る

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2011/09/03 11:11
『ハウスメイド』、転落と落下
『ハウスメイド』、転落と落下 しばらく前に試写会で見させていただきました。 一応この作品は、1960年に撮られたキム・ギヨン監督の『下女』という作品のリメイク、ということになっているようです。 と、歯切れの悪い言い方をするのは、僕は元の作品は見ていないんですが、資料によるとどうやらもっとぐだぐだの物語なんですね。 このリメイク版はかなりシンプルになっています。 主人公の性格や人間関係等も大きく変更されていて、物語の共通点というと、主人がハウスメイドを妊娠させちゃう、ということぐらいじゃないでしょうか。 ですからリメ... ...続きを見る

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2011/09/02 09:34
『ツリー・オブ・ライフ』、ぼんやりした皮膜感
『ツリー・オブ・ライフ』、ぼんやりした皮膜感 原題の『THE TREE OF LIFE』というのは、直訳すると「生命の木」でしょうか。 僕自身はイメージとして系統樹に近いものを思い浮かべていました。 ですから、たとえば父と子の葛藤をミニマリズム風に描いたドラマを期待すると裏切られることになります。 ここに綴られるのは息子ジャック(ショーン・ペン、ハンター・マクラケン)の意識の内にある家族であり、家族との記憶です。 それが生命樹=人生樹というイメージと重ねあわされていくわけですね。 ...続きを見る

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2011/08/31 16:26
『大鹿村騒動記』、幕の向こうとこちら
『大鹿村騒動記』、幕の向こうとこちら 前回記事をアップしてから1ヶ月あまり経ってしまいました。 このご時世、仕事で忙しいのはありがたい限りですが、もう少し映画のための時間もほしい。 いや、仕事を理由に更新をサボってるだけじゃないかと言われればそれまでですが(汗)。 ともあれレビュー待ちの映画が何本かたまっています。 少しずつアップしていきますので、よろしくおつきあいください。 ...続きを見る

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2011/08/30 16:07
『奇跡』(是枝裕和監督)、世界の意味
『奇跡』(是枝裕和監督)、世界の意味 主人公のひとり、航一(前田航基)の口癖は「意味わからん」です。 桜島が噴火するのも、火山灰が降り注ぐ町に住むのも、両親が離婚したことも、彼にとっては「意味」がわからない。 彼はそのことに苛立ち、そしてそのことに苛立つ様子のない両親や離れて暮らす弟・龍之介(前田旺志郎)に苛立つんですね。 だから彼は、どうにかして以前の生活を取り戻せないかと考えるわけです。 でも、それはほんとうに取り戻せるものなのかどうか。 もっと言えば、取り戻すことに「意味」があるのかどうか。 ...続きを見る

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2011/07/12 09:48
『SUPER8/スーパーエイト』(2011年)の8mm作品
『SUPER8/スーパーエイト』(2011年)の8mm作品 言うまでもないことかもしれませんが、タイトルの「SUPER8」というのは8mmカメラの呼称です。 監督にとっても製作のスピルバーグ氏にとっても、映画少年だった頃の思い入れあるツール、今風に言えばガジェットということになるでしょうか。 映画の中で少年たちは、このSUPER8でゾンビ映画を撮影することに夢中になっているんですね。 彼らの熱中ぶりは微笑ましいかぎりで、監督たちの少年時代もまたかくや、という感じがします。 そして彼らのカメラが偶然捉えた映像が、物語上ひとつの役割を果たすわけですね... ...続きを見る

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2011/07/06 15:19
『ダンシング・チャップリン』、再生の手続き
『ダンシング・チャップリン』、再生の手続き 映画の前半、ユージーン・チャップリンへのインタビューの場面があります。 その中で彼は、ローラン・プティがチャップリンを題材にしたバレエを作る際に、彼に伝えたアドバイスについて語っているんですね。 それは「チャップリンをそのまま模倣するのではなく、新しいものを作らなければいけない」というような内容だったといいます。 当然同じことは、この映画を撮る周防監督にも言えるわけです。 ...続きを見る

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2011/07/04 11:45
『BIUTIFUL ビューティフル』、記憶の迸り
『BIUTIFUL ビューティフル』、記憶の迸り 冒頭、ウスバル(ハビエル・バルデム)と娘のアナ(ハナ・ボウチャイブ)の手が、中空で指輪について語り合っている。 そこからウスバルの話は風へと移り、画面はウスバルと若い男が林の中で風について語るシーンへとつながっていくんですね。 このふたつのシーンからなるシークェンスは、映画の終盤にそっくり繰り返されます。 でもそのときには僕たちは、林の中の男が誰なのかを知っているでしょう。 同時に、なぜ唐突に、風をめぐる父娘の会話の場面が若い男とウスバルの会話へと移行するのか、その理由についても知ってい... ...続きを見る

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2011/07/02 21:38
映画『赤ずきん』のアマンダ
映画『赤ずきん』のアマンダ この映画の魅力は何といっても赤ずきん=バレリー役のアマンダ・セイフライドでしょう。 もちろん女優の好みは人それぞれですので、彼女が駄目なら映画の楽しみは半減ということになるかもしれません(笑)。 もっとも、『トワイライト〜初恋〜』が好きな方なら十分に楽しめるんじゃないでしょうか。 予備知識もなく見た僕は、映画の途中、何度か『トワイライト』シリーズの予告編を思い出していました。 見終えた後に監督が『トワイライト〜初恋〜』を撮った人だと知って、なるほどねえ、と思った次第です。 ...続きを見る

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2011/07/01 18:46
『東京公園』、相互受容の儀式
『東京公園』、相互受容の儀式 光司(三浦春馬)が初めてスクリーンの前に姿を現したとき、彼は僕たちに向かって母の形見であるカメラを構えています。 もちろん設定上は公園で戯れる家族たちにカメラのレンズを向けているんですが、僕たちには彼が僕たちを撮っているように見えるでしょう。 このとき、光司は「見る人」として登場したことがわかるはずです。 そして当然ながら、彼自身は無頓着なんですが、「見られる人」でもあるんですね。 ...続きを見る

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2011/06/30 15:20
『さや侍』、手をつなぐこと
『さや侍』、手をつなぐこと 映画の終盤、いよいよ三十日の業の最終日を迎えて、野見親子と門番ふたりが会場に向かうシーンがあります。 野見(野見隆明)は托鉢の僧にぶつかった後、娘たえ(熊田聖亜)の手を握る。 そのときたえは、それまでの彼女とは別人のように破顔一笑するんですね。 この一瞬、ふたりの間にひとつの逆転が起きていることに僕たちは気づきます。 ...続きを見る

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2011/06/27 11:00
『クロエ』(A・エゴヤン監督)、ガラス越しの世界
『クロエ』(A・エゴヤン監督)、ガラス越しの世界 主人公キャサリン(ジュリアン・ムーア)が眺めているのはつねにガラス越しの風景です。 ガラスの向こうにデビッド(リーアム・ニーソン)が、息子マイケル(マックス・シエリオット)が、佇んでいる。 だから彼女が、彼らのほんとうの気持ちが見えないという思いに駆られるのは、少なからず当然ともいえるでしょう。 一方でクロエ(アマンダ・セイフライド)についてはどうかというと、キャサリンは彼女を鏡の中に見ているんですね。 まるでクロエは自分の若き分身であるかのようです。 ガラス越しの風景と鏡の中の世界。... ...続きを見る

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2011/06/14 20:17
『キッズ・オールライト』、マーク・ラファロの話し方
『キッズ・オールライト』、マーク・ラファロの話し方 この映画のよくないところを言い始めたらキリがなさそうです(笑)。 でもそれではこのブログの趣旨に反するので、とにかくいいところを探しましょう。 ...続きを見る

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2011/06/07 13:58
映画『マイ・バック・ページ』、「何か嫌な感じ」を身にまとう秀逸さ。
映画『マイ・バック・ページ』、「何か嫌な感じ」を身にまとう秀逸さ。 「何か嫌な感じがする」。 映画の終盤、編集部に別れを告げにきた倉田眞子(忽那汐里)の口からその言葉が漏れたとき、僕たちはああ、そうなのか、と、沢田(妻夫木聡)同様に血の気が引くような思いになるでしょう。 そのとき沢田は、それまでの笑みを凍りつかせて、無言のまま荷物を整理するほかはありません。 カメラもまた、まるでそれがエンディングであるかのように、後退していくほかはない。 もっとも、彼女の言葉がほんとうに意味するところに沢田が気づくのは、もう少し後のことです。 が、僕たちは彼女の言葉を... ...続きを見る

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2011/06/06 18:55
『ゲンスブールと女たち』、非連続な断片
『ゲンスブールと女たち』、非連続な断片 映画とは無関係なんですが、ゲンスブールと表記すべきかゲンズブールとすべきか、いつも迷ってしまいます。 フランス語の綴り字法に従えば「ス」と濁らないのが正しいでしょう。 でも何せ人名です。 綴り字法に従わなければいけないというものでもありません。 実際、本人の発音は「ズ」に近かったという説もあります。 だから日本では両方が流通しているんですね。 でもセルジュ本人は「ズ」だったとして、娘のシャルロットはどうだったんだろう。 それはわかりません(笑)。 まあ、とりあえず、ここでは「ズ」... ...続きを見る

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2011/06/04 15:31
『アジャストメント』、扉の向こう
『アジャストメント』、扉の向こう 映画が後半に入ると、がぜん扉が活躍し始めます。 もちろんそれまでも調整局の人間たちは扉を活用しています。 が、映画の終盤ではこの扉が主人公のデヴィッド(マット・デイモン)を助けることになるんですね。 ...続きを見る

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2011/06/01 17:17
『ブラック・スワン』、ニナのダイブ
『ブラック・スワン』、ニナのダイブ なるほどアメリカのアカデミー賞が、この映画に作品賞ではなく主演女優賞を授与したのは何となくわからないでもありません。 そのあたりの事情というか「感じ」は、2009年のカンヌ映画祭が、『アンチクライスト』(2009年、ラース・フォン・トリアー監督)のシャルロット・ゲンズブールに主演女優賞を授与したのと似ているでしょうか。 そういえばふたりはそれぞれの作品の中で、どちらも精神を崩壊というか自己溶融させる主人公となって、豪快な自慰シーンを演じていますね。 主演女優賞を受賞するには、カメラの前で自... ...続きを見る

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2011/05/31 19:43
『これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫』、真剣にバカ?
『これでいいのだ!! 映画★赤塚不二夫』、真剣にバカ? 「真剣にばかをやれ」というのがこの映画の中の赤塚不二夫(浅野忠信)の口癖です。 その命令のもと、不承不承ながら、担当編集者である武田(堀北真希)はバカになろうとするわけですね。 その甲斐あって(?)、やがて彼女は赤塚不二夫も太鼓判を押すバカになっていくでしょう。 ...続きを見る

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2011/05/30 09:33
『抱きたいカンケイ』、見えない壁
『抱きたいカンケイ』、見えない壁 忙しくてなかなか映画を観られず、映画を観てもレビューを書けず…。 そんな日々が続いて、少しいらだち気味です。 そもそもレビューには備忘録の一面もあるんですが、いったいいつ観たのかも忘れるぐらいだと、その役目を果たすのかどうか(苦)。 ともあれ、観たままになっている作品をレビューしましょう。 今回は『抱きたいカンケイ』です。 ...続きを見る

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2011/05/29 13:03
『阪急電車 片道15分の奇跡』、中谷美紀と高須瑠香
『阪急電車 片道15分の奇跡』、中谷美紀と高須瑠香 心に悩みを抱えた人々がローカル電車の中で織り成す人間模様…といってもほぼメインは女性です。 しかもその女性たちを演じる女優といえば、宮本信子、中谷美紀、南果歩といった錚々たる顔ぶれに加え、戸田恵梨香や芦田愛菜といった旬な名前もあるわけですね。 ですから内容はともあれ、とりあえず彼女たちを見ているだけでいいか、という気にもなるかもしれません(笑)。 いや、たぶんそれでいいんだろうと思います。 間違っても、もう少し何とか…、なんて愚痴を口にしてはいけないんですね。 走る電車の中、ドレス姿の... ...続きを見る

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2011/05/14 20:53
『ザ・ライト -エクソシストの真実-』の論理的跳躍
『ザ・ライト -エクソシストの真実-』の論理的跳躍 主人公の神学生マイケル(コリン・オドノヒュー)は、神の存在には懐疑的です。 ですから物語の主眼のひとつは、彼がどのように神と悪魔の存在を受け入れるか、にあるわけですね。 ただし悪魔を登場させることはできない。 何しろ誰も見たことがないんですから(笑)。 そこが日本の怨霊ものとは違うところでしょう。 キリスト教世界では神も悪魔も決して顕在化したりはしません。 悪魔らしきものがとりついているとしても、マイケルの目の前にいるのは間違いなく人間です。 だから問題は、その人間を支配しているの... ...続きを見る

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2011/05/09 16:27
『SOMEWHERE』、闖入する女たち
『SOMEWHERE』、闖入する女たち 確か『マリー・アントワネット』(2006年)のレビューで、作品の時代背景が異なっていればソフィア・コッポラ監督はもっと別の撮り方をして、もっと良質の映画になっていたはず、というような失礼なことを書いた記憶があります。 でもこの『SOMEWHERE』を見終えた今、僕のその判断が果たして正しかったのかどうか、少しばかり疑問に感じざるを得ません。 もしかすると僕が『マリー・アントワネット』を的確に見ることができていなかったのか、あるいは彼女のフィルモグラフィーの中で『マリー・アントワネット』だけが... ...続きを見る

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2011/04/19 14:18
『ザ・ファイター』、The Fighter としての資格
『ザ・ファイター』、The Fighter としての資格 今回は『ザ・ファイター』(デヴィッド・O・ラッセル監督)をレビューします。 ...続きを見る

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2011/04/12 12:42
『トゥルー・グリット』、主人公のずれ
『トゥルー・グリット』、主人公のずれ 今回のレビューはコーエン兄弟が監督した『トゥルー・グリット』です。 この作品は1969年にヘンリー・ハサウェイ監督が撮った『勇気ある追跡(True Grit)』のリメイクですね。 ただ僕はコーエン兄弟同様、たぶん「オリジナル作品を子どものころに観てはいたが全く覚えていない(シネマトゥディ)」ので(笑)、その点はご容赦いただきたいと思います。 本来ならふたつの作品を見比べることで多少なりともコーエン兄弟の特質が浮かび上がるところなんでしょうけれど。 ...続きを見る

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2011/04/03 12:08
『わたしを離さないで』、邪魔する女
『わたしを離さないで』、邪魔する女 映画の原題になっている『Never Let Me Go』というジュディ・ブリッジウォーターの曲は、二度ほど映画中に流れます。 一度めはそのテープをトミー(アンドリュー・ガーフィールド)がキャシー(キャリー・マリガン)のために代用コインで買ってくれたとき。 キャシーはひとり共同寝室に戻ると、ジュディの歌声に聞き入ります。 隔離された施設の中、ふたりの心でささやかに萌芽した恋が、形になって表れた場面といっていいでしょう。 そのとき、いつのまにか扉のところにはふたりの友人であるルース(キーラ・... ...続きを見る

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2011/04/01 19:49
『ツーリスト』、アンジェリーナ・ジョリーで救われた
震災前に見た映画のレビュー、最後は『ツーリスト』です。 フランク(ジョニー・デップ)が登場するあたりからおよそ物語のなりゆきは想像がつくわけですから、主な見どころはアンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップの共演ぶりということになるでしょうか。 本来なら展開が予想されるからこそ結末にいたるサスペンスを楽しみたいところですが、残念ながらその点には過度の期待をかけない方がいいようです(笑)。 ...続きを見る

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2011/03/27 11:24
リズの死、と、『アンチクライスト』
女優のエリザベス・テーラーさんが逝去したというニュースが入ってきました。 79歳だそうです。 僕たちの世代がものごころついた頃には彼女はもうアカデミー女優で、大スターでした。 僕は決して彼女のファンというわけではありませんが、それでも折に触れ、TVや名画座で彼女の過去の作品を見てきたように思います。 そんな僕にとって最も印象深い彼女の映画を挙げろと言われれば、きっと、1968年の『夕なぎ』と答えるでしょう。 間違っていたら申し訳ありませんが、この作品が故リチャート・バートン氏と共演した... ...続きを見る

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2011/03/24 18:48
『シリアスマン』、屋根の上に立ちすくむ主人公
震災から11日。 被災されたみなさまにはこの場を借りてお悔やみとお見舞いを申し上げます。 どうか一日に早く、穏やかな日々が戻りますように。 ...続きを見る

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2011/03/22 17:54
『英国王のスピーチ』の系譜
映画や現代文学にとって大きなテーマのひとつは、いかに作品を「異物」化するか、ということにあります。 美文ではなく悪文を書くことに腐心した大江健三郎氏なら、かつてロシア・フォルマリズムの用語を借りて、同じようなことを「異化」と表現したでしょうか。 そこにあるのは日常の風景や言葉とのずれであり、齟齬であり、いわば吃音的な映像世界、言語世界です。 僕たちはある種の映画、文学作品を前にして、自らが発語障害に陥ったようにとまどってしまう。 映画・文学の存在意義のひとつは、そんな吃音体験と言っていい... ...続きを見る

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2011/03/10 10:29
『恋とニュースのつくり方』、相対的な軽さの効用
物語は低視聴率モーニング番組のプロデューサーとして採用されたベッキー(レイチェル・マクアダムス)が、いかに番組を立て直していくかというもの。 原題は『Morning Glory』で主眼は番組をめぐる彼女の奮闘ぶりにありますから、恋はスパイス程度のものと思っていいでしょう。 もちろんそれでいいんですが、残念なのはその「恋」が彼女の「仕事」とほぼ無関係に進行している点です。 この手の「B級映画的」と呼んでいい作品の特徴は、主流となる物語が同時に副流となる物語を紡いでいることにあります。 それ... ...続きを見る

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2011/03/05 12:28
『ショパン 愛と哀しみの旋律』、芸術家の幼児性
しばらく前に試写会で見させていただいたまま、忙しさにかまけてレビューが追いついていませんでした。 お金を払わずに見たからには、その対価をどのような手段であれ「宣伝」で支払うというのが義務だと思いますので、明日3月5日からの公開にぎりぎり記事が間に合ってほっとしております(笑)。 ...続きを見る

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2011/03/04 21:39
『ヒア アフター』、イーストウッド主義の誕生?
クリント・イーストウッド監督はどこまでも物語作家であろうとする。 それを僕は『インビクタス 負けざる者たち』(2009年)のレビューで「映画屋」という言葉で表現しました。 イーストウッド監督のその姿勢は、この『ヒア アフター』でより強く示されているように思います。 ...続きを見る

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2011/03/03 20:52
『幸せの始まりは』、見下ろすということ。
とりたてて驚くほどの展開や仕掛けが用意されている映画ではありません。 物語はごく想定どおりに進み、そしてきわめて誠実に、収まるべきエンディングに着地してくれるんですね。 もちろんそれでまったく問題はないわけで、何か特別な物語の転調を期待するのは筋違いというものでしょう。 ...続きを見る

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2011/03/01 10:43
『再会の食卓』、大切なことはすべて食卓で語られた。
原題の『團圓』というのは、定かではありませんが団欒というほどの意味でしょうか。 「圓」はたぶん円卓、形はどうあれ、たびたびこの映画に登場する食卓と考えていいでしょう。 ですからこの『再会の食卓』では、ほとんどすべてといっていいほど大切なことは食卓で語られます。 ユィアー(リサ・ルー)のもとに届いた、生き別れの夫イェンション(リン・フォン)からの手紙を読むシーンに始まり、イェンションが彼女のもとを訪れた目的をユィアーの今の夫シャンミン(シュー・ツァイゲン)に打ち明けるところ、シャンミンが高ぶ... ...続きを見る

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2011/02/27 17:06
映画『グリーン・ホーネット』、ヒーローを演じるということ
とにかく金に飽かせて武装するのがこの映画のヒーロー、ブリット(セス・ローゲン)とケイトー(ジェイ・チョウ)の二人です。 その資金はどこから来ているかというとブリットが父から受け継いだ遺産ですね。 そういえば『アイアンマン』や『バットマン』といったアメリカン・コミックのヒーローたちの武力は、同じように亡き両親の資産がバックボーンになっていますから、その意味ではみな類似的な存在だといっていいでしょう。 資産家が正義のヒーローになるというのは、もしかすると、たとえば社会的成功者は慈善活動で社会に... ...続きを見る

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2011/02/18 10:18
『毎日かあさん』、液体質の息子
もちろん主役はリエコ(小泉今日子)とユタカ(永瀬正敏)の夫婦なんですが、もう一人忘れてはならない登場人物がいて、それは息子のブンジ(矢部光祐)です。 このブンジという子は、こんな言葉があるかどうか、とにかく「液体質」なんですね。 朝のおねしょから始まって、指をのどの奥に突っこんでゲロをする、友だちと全身泥まみれになって転がりまわる。 母のリエコにしてみると手の焼ける子であるのは間違いありません。 もっともこの「液体質」はもしかすると父親ゆずりかもしれず、というのも酔いつぶれたユタカもまた... ...続きを見る

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2011/02/16 18:49
映画『白夜行』、堀北真希ちゃんのコスプレ
たとえば冒頭、少年がすすき野を走るシーンからしばらくして、雨の中、すすきに囲まれた道を黒塗りの警察車両が連なって走るシーンがあります。 このあたりはうまいなあと思わないでもないんですね。 というのも映画が進むにつれてわかってくるんですが、このすすき野は主人公の二人、雪穂(堀北真希) と亮司(高良健吾)にとって特別な風景だろうからです。 そこに黒塗りの車が乗りこんでいく。 映画のなりゆきを予兆させるシーンとも言えるでしょう。 でもこうした小技の効いた演出は思い出したようにときどき現れるだ... ...続きを見る

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2011/02/03 10:58
『ソーシャル・ネットワーク』の意図的な齟齬
冒頭、マーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)とエリカ(ルーニー・マーラ)の会話が、切り返しショットの反復で延々と続きます。 でもだからといって退屈かというとそうではありません。 というのも、マシンガンというよりはマシンピストルのようなスピードで発せられるマークの言葉が、エリカはもちろん見ている僕たちまで苛立たせるからです。 僕たちを苛立たせた時点で、勝負ありとも言えるんですね。 彼はエリカの質問にまったく別の質問で切り返したり、そうして自分が一度はかわした話題を相手が忘れた頃... ...続きを見る

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2011/01/25 11:19
『愛する人』、彼女は二度娘を奪われた。
邦題の意図するところは不明ですが(笑)、原題の『Mother and Child』はこの映画のテーマを端的に表していますね。 ここには母親になることができないでいる三人の女性が登場する。 ひとりは14歳で出産し、生まれたその日にその子供と母親によって引き裂かれたカレン(アネット・ベニング)。 ふたりめはカレンのその娘で、母に捨てられた記憶のせいか、避妊手術によって自らが母となることを拒絶したエリザベス(ナオミ・ワッツ)。 そしてもうひとりは、エリザベスのように出産直後に手放される子を養子... ...続きを見る

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2011/01/24 20:42
『シチリア!シチリア!』、走る少年・回る独楽
冒頭、少年たちが独楽を回して遊ぶシーンからこの映画は始まります。 そして独楽で始まった映画は独楽で終わる、とでも言わんばかりに、ラストシークェンスもやはり少年たちが独楽を回して楽しんでいるところで終わるんですね。 でも冒頭で煙草を買ってくるように命じられた少年がポケットに入れた独楽と、ラストで同じ少年がポケットから取り出した独楽とが、同一である保証はどこにもありません。 むしろ僕たちには、まるでマジックのようにそれがすり替えられているという確信の方が強いわけです。 というのも、この映画で... ...続きを見る

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2011/01/22 21:03
『僕が結婚を決めたワケ』を見捨てられないワケ
『コクーン』(1985年)より後ロン・ハワード監督には度々期待を裏切られ続けてきたにもかかわらず、こうして新作を見るために映画館に足を運んでしまうというのは、どこかマゾヒスティックな性向の表れなんでしょうか(笑)。 が、この映画に関しては、そんな倒錯的な嗜好から解放されそうです。 というのもこの新作にはひとつの大きな注目点があって、それは何かというと、主人公ふたりの体格なんですね。 ...続きを見る

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2011/01/21 16:04
『最後の忠臣蔵』、わかりやすさの代償
映画のベースになっているのは『晩春』(1949年、小津安二郎監督)だと思って間違いないでしょう。 物語はもちろん、それを思わせるシーンやショットがそこかしこに現れますし、冒頭を始めとして度々挿入される文楽のシーンも、『晩春』の能舞台に触発されたものじゃないでしょうか。 『晩春』のラスト、籐椅子に座った父親・周吉(笠置衆)が皮を剥き始めたリンゴを虚脱したように床に落としてしまうシーンは、この映画では可音(桜庭ななみ)が仕立ててくれた着物に彼女の残り香を嗅ぐという孫左衛門(役所広司)の行為に変奏... ...続きを見る

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2011/01/16 20:11
『モンガに散る』、夕闇に赤く光るヨーヨー
冒頭からしばらくして、モスキート(マーク・チャオ)がモンク(イーサン・ルアン)と出会うシーンがあります。 そのときモスキートはヨーヨーを地面に落とし、モンクのバイクのタイヤがそれを踏み壊してしまう。 で、後にふたりが別の三人とともに仲間になったとき、モンクが壊したヨーヨーの代償として自分のヨーヨーをモスキートに譲り渡すんですね。 それは内部にライトが付いていて、誘導灯のような鈍く赤い光を放つヨーヨーです。 もっとも、この赤いヨーヨーが本来の使われ方をするのは、映画の中でただの一度きりしか... ...続きを見る

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2011/01/15 21:01
『しあわせの雨傘』、飾り壷のイロニー
原作の戯曲を見ても読んでもいないのでどこまでが小説の設定なのかはわからないんですが、雨傘工場の娘が主人公というなら、やはり『シェルブールの雨傘』(1964年、ジャック・ドゥミー監督)で雨傘屋の娘を演じたカトリーヌ・ドヌーヴを配役したくなるというものでしょう。 スザンヌ(ドヌーヴ)、夫のロベール(ファブリス・ルキーニ)、わけありのモリス・ババン(ジェラール・ドパルデュー)の三人の関係も、どこか『シェルブールの雨傘』の人間関係を彷彿とさせないでもありません。 ドヌーヴに歌を歌わせたり、ダンスを躍... ...続きを見る

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2011/01/14 20:54
『バーレスク』、ショウほと素敵な商売はない。
今年最初のレビューは『バーレスク』です。 シェール(テス役)とクリスティーナ・アギレラ(アリ役)の共演、ナイトクラブが舞台と聞けば、ふたりの歌の競演にならなきゃいいけど、とやはり危惧してしまうのは僕だけではないはずです。 実際、これだけ歌を詰めこめば120分という長さにもなるだろうし、映画の大半の魅力はシェールとアギレラの歌といっていいような内容なわけですね。 もちろんふたりのファンならそれで十分に合格点。 ファンでなくても、僕も含めアメリカのクラブになど行ったこともない者たちにすれば、... ...続きを見る

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2011/01/10 10:45
2010年の映画回顧
明けましておめでとうございます。 今年もどうぞよろしくおつきあいください。 ...続きを見る

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2011/01/05 13:44
『ゴダール・ソシアリスム』、ゴダールの箱舟はどこへいく?
実はジャン=リュック・ゴダール監督にとって、劇映画全編をデジタル撮影したのはこの『ゴダール・ソシアリスム』が初めてだ聞くと、一瞬耳を疑ってしまう。 というのも、ゴダール監督ほどデジタル撮影がふさわしい人はいないだろうからです。 長編デビュー作の『勝手にしやがれ』(1959年)からすでにその特徴は見てとれるし、実際、これまでも彼がデジタルの技術を積極的に活用してきたことは間違いないんですね。 思えば1980年代、「ソニマージュ(sonimage、音響映像)」というわかりやすい造語とともに商業... ...続きを見る

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2010/12/30 14:28
『人生万歳!』のご都合主義
この映画の原題は『Whatever Works』で、うまくいくなら何でもあり、都合よくいくなら何でもOK、というほどの意味です。 だから当然、映画の内容はハッピーエンドへ向けてのご都合主義の連続なわけです。 もっともそのご都合主義は、突き抜けた楽天性によるものではなくて、シニカルなトーンで彩られている。 そこがまあ、ウディ・アレン監督らしいところなのかもしれません。 もちろんそのことに異を唱えようというのではありません。 ただ、そのシニカルなご都合主義の行き着く果ては究極の楽天性、とい... ...続きを見る

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2010/12/28 10:28
『アメリア 永遠の翼』、飛行機は前に飛ぶ。
飛行機は前に飛ぶことしかできません。 後ろに戻るためには、180度回転して、方向を変えるしかない。 車のようにバックすることはできないわけです。 だからでしょうか、飛行士である主人公のアメリア(ヒラリー・スワンク)も後ろへ戻ることを知らない女性なんですね。 不可能という言葉は彼女には無縁といっていいでしょう。 彼女はつねに自分の可能性を信じ、前進することだけを考えているわけです。 飛行機が先なのか、彼女が先なのか。 それはわかりませんが、まさに彼女自身が飛行機のような存在であること... ...続きを見る

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2010/12/24 09:17
映画『ノルウェイの森』、水原希子の唇
この映画の一番の収穫は、水原希子の唇だろうと思います。 ちょっと薄い上下の唇の両端がきゅん、と上がるとき、たとえば同じように薄い唇をもつ上戸彩とはまるで異質の輝きを放つことがわかるでしょう。 そこだけがまるで別の生き物のようで、僕たちはつい彼女の唇に視線を走らさずにはいられない。 それはたとえば、この映画のラスト直前のショットが彼女の唇の動きを捉えているのも、偶然ではないように思えてきてしまうほどです(笑)。 ですからずっと長い時間を経たとき、僕たちにとってこの『ノルウェイの森』は、彼女... ...続きを見る

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2010/12/17 22:46
映画『ゲゲゲの女房』、自転車とらくだ色の靴下
オープニングからしばらくして、酒屋である布枝(吹石一恵)の実家の夕食風景が映されます。 画面の手前にぬらりひょん(徳井優)らしき人物が写りこみ、画面奥に食卓につこうとする家族がいる。 焦点深度を深くすることで、奥の家族を画面のメインに収めながらも、ぬらりひょんもまたちゃんと写りこんでいるんですね。 この心憎い演出を見るだけで、この作品が決してTVドラマの二番煎じではないことがわかるでしょう。 ...続きを見る

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2010/12/16 22:10
『Ricky リッキー』、夢のまた夢
問題はオープニングシーンです。 主人公のカティ(アレクサンドラ・ラミー)が役所かどこかの担当者に、生活の窮状を訴えているところから映画は始まるんですね。 彼女にはふたりの子供がいて、下の男の子がまだ生後間もないために仕事を休んでいて収入がない。 スペイン人らしき子供の父親(=パコ、セルジ・ロペス)は家を出て連絡もつかず、もしかすると国に帰ってしまったのかもしれない。 だから子供たちを施設に入れたい、そう彼女は訴えるんですね。 そのとき担当者に「何か子供に問題は?」と尋ねられると、カティ... ...続きを見る

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2010/12/09 15:18
『スプリング・フィーバー』、未成熟の残酷
ファム・ファタル(femme fatale)という言い方に倣うなら、主人公のジャン・チェン(チン・ハオ)はオム・ファタル(homme fatal)と呼べるでしょうか。 「男なら誰とでもヤるのか?」とルオ・ハイタオ(チェン・スーチェン)に詰問され、「そうだ」と事も無げにうそぶく姿は、まさにオム・ファタルとしての自分の存在を自覚しているからにほかなりません。 男たちはそんな彼に魅入られ、破滅への道を歩んでいくんですね。 もっとも自覚しているからといって、自らそうであることを望んでいるかどうかは... ...続きを見る

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2010/12/04 19:41
『クリスマス・ストーリー』、交換可能な養子縁組関係
120分を超える映画に対してその長さに疑問を呈することの多い僕が、この『クリスマス・ストーリー』の150分という長さはあっさり容認するとしたら、それははたして片手落ちというものでしょうか(笑)。 いや、そうではないでしょう。 というのもデプレシャン監督は、120分を超える映画を撮ることを、無条件で許されている数少ない監督のひとりなのですから。 むしろなぜ150分というごく限られた時間の中で映画が終わってしまうのか、僕たちはそう嘆かざるを得ないほどです。 ...続きを見る

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2010/12/01 20:55
『ビッチ・スラップ 危険な天使たち』、お下劣版タランティーノ。
この手の「出来の悪い」映画は決して嫌いじゃありません。 ひとつ困ることがあるとすれば、誉めるべき点を見つけるのが難しいことでしょうか(笑)。 でもその条件さえ免じてもらえるなら、この映画について語る楽しさはいくらでもあるわけです。 ...続きを見る

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2010/11/24 09:14
『100歳の少年と12通の手紙』、長いまつげの少年
僕たちはこの映画の中で、度々クローズアップで映し出される主人公オスカー(アミール)の目に出会うことになります。 その度に僕たちはその人形のようなまつげの長さに嘆息し、彼ほどの長さがあれば僕たちの人生も多少は違ったろう、なんて浅薄な嫉妬を覚えたりするわけですね(笑)。 もちろんそんな愚かな願いなど叶えられるはずもなく、そこで僕たちは、彼の瞳はいったい何を見ているんだろう、と訝ることになります。 ...続きを見る

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2010/11/23 21:42
『ノーウェアボーイ ひとりぼっちのあいつ』、ジョンの眼鏡
ジョン(アーロン・ジョンソン)が外出しようとすると、決まって伯母のミミ(クリスティン・スコット・トーマス)は「眼鏡を(かけなさい)」と注意します。 ジョンはその言葉に従って眼鏡をかけてから家を出るんですが、門を出るあたりですぐに外してしまう。 こんなやりとりが何度も映画の中で繰り返されるんですね。 ...続きを見る

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2010/11/21 17:55
『隠された日記 母たち、娘たち』、祖母の亡霊
祖母(ルイーズ、マリ=ジョゼ・クローズ)の亡霊が現れる。 彼女はそうするのが当然のごとく、キッチンの前にもの憂げにたたずんでいる。 彼女は気がつくといつの間にかオドレイ(マリナ・ハンズ)の前に姿を現していて、まるで今もそこに生きているかのように語りかけているんですね。 この自然さが、この映画の一番の特徴のように思います。 ...続きを見る

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2010/11/13 16:55
『マザーウォーター』、ちょうどいいところ
この映画には、登場人物たちが椅子やベンチに並んで座るシーンが何度となくあります。 どうして向かい合わせでなく横並びなのかというと、その理由のひとつはカメラワークにあるんでしょう。 カメラはまず並んで座る人物たちを斜め左、つまり彼らから見ると斜め右手から捉えます。 そしてカメラはゆるやかに左にパンしながら右へと水平移動して彼らに近づいていく。 するとスクリーンを前にした僕たちには、カメラがゆっくり回りこむように楕円軌道を描いて人物たちに近づき、彼らを正面で捉えたところで動きを止めるように見... ...続きを見る

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2010/11/07 10:40
『遠距離恋愛 彼女の決断』、ドリューのバカ笑い。
なぜそれほどまでにバカ笑いをするのか。 その理由は僕たちにはわかりません。 でも、とにもかくにもこの映画のエリン(ドリュー・バリモア)は、何か面白いことがあるとすぐに大きな声でバカ笑いをするわけです。 それはあたかも、自分も含め登場人物たちの明け透けぶりを象徴するかのようなんですね。 ...続きを見る

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2010/11/04 09:19
映画『プチ・ニコラ』の赤いベスト
冒頭、記念写真の撮影風景に続き、ニコラ(マキシム・ゴダール)の学級が映し出されます。 木の机に短パンの男の子たち。 いかにも50〜60年代のフランスの教室という雰囲気が出ています。 が、ニコラの家庭の描写になると、ちょっと感じが変わるんですね。 ニコラを挟んでのママ(ヴァレリー・ルメルシェ)とパパ(カド・メラッド)のやりとりは、どこか、時代は同じだけどアメリカのテレビホームドラマを見ているような思いにさせられるかもしれません。 それともあの懐かしいブラウン管式のテレビ受像機がそう連想さ... ...続きを見る

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2010/10/31 14:07
『桜田門外ノ変』、学習教材としての価値?
この手の作品は文部科学省の選定を受けたりするんですが、どうやらこの作品はそうではないようです。 その理由はちょっと「残虐」な場面があって、教育上よろしくないからでしょうか。 でもだからといってR指定でもない。 まあ、その中間あたりということなんでしょうかねえ(笑)。 ...続きを見る

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2010/10/27 09:35
リメイク版『十三人の刺客』、ふたりの三池監督
前々回レビューした『死刑台のエレベーター』が1957年の作品のリメイクなら、こちらは1963年の作品(工藤栄一監督)のリメイクです。 恥ずかしながらそのオリジナル版を見ていない僕には、本来ならこの作品をレビューする資格の半分はないのかもしれません。 でもまあ、刺客になるには資格は必要なかろうと、都合よく自己弁護しつつレビューすることにします。 ...続きを見る

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2010/10/22 16:05
『スープ・オペラ』、締めはスープ。
叔母のトバちゃん(加賀まりこ)が突然結婚すると宣言して家を出た後、ルイ(坂井真紀)が洋裁をしていたトバちゃんの部屋に入り、足踏みミシンを愛しげに撫でるシーンがあります。 このときふと、そういえば『トイレット』でも、パニック障害でひきこもっていた長男が死んだ母の足踏みミシンを引っ張り出してきていたな、なんてことが思い出されるんですね。 いや、突然結婚すると言い出すというなら『オカンの嫁入り』か。 とにもかくにも頭の中をそんな回想が走りぬけるうちにも物語は進み、すると今度は、ルイが作るトバちゃ... ...続きを見る

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2010/10/21 10:20
日本版『死刑台のエレベーター』、リメイクの困難。
このリメイク版『死刑台のエレベーター』の最大の功績は、すでに歴史の中に葬り去られようとしているヌーヴェルバーグ初期の作品に光を当てたことにあります。 「新しい波」の運動の担い手たちの中では、決してゴダールやトリュフォーほどには優れた作品群を残しているわけではないルイ・マル監督が、それでもある確かな水準以上の映画を撮っていたということが、このリメイク版を観ることで改めて実感されることでしょう。 ...続きを見る

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2010/10/19 10:08
『ブロンド少女は過激に美しく』、説明不要=不能としての映画
映画を撮ることに特別な才能や技術が必要なわけではない。 大切なのは映画に対するひとつまみの塩ほどの感性であって、才能や技術はその後を追いかけてやってくるものだということを、オリヴェイラ監督は教えてくれます。 もちろんその感性でさえ天賦のものではなく、映画との距離を学び取っていくうちに磨かれていくものなんでしょう。 いや、そんなことを、すでに自分の倍もの人生を生きている人に向かってわけ知り顔に語る資格なんて、僕にはないんですが。 ...続きを見る

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2010/10/16 18:21
映画『恋愛戯曲 〜私と恋におちてください。〜』、深キョン的なるもの。
深キョン(深田恭子)主演の作品を見ると、映画そのものより彼女について語りたくなってしまうのが僕の悪い癖です(笑)。 で、その深キョン、この映画では三つの役を演じています。 メインキャラである人気脚本家・谷山真由美、彼女の脚本に登場する脚本家志望の主婦、そしてその脚本家志望の主婦の脚本に登場するわがままで奔放な脚本家。 余談ながら言えば何だか『インセプション』で描かれている三層の夢を彷彿とさせる入れ子構造なんですが、こちらの方がもともとが舞台作品であったせいかより戯曲的であるとはいえそうです... ...続きを見る

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2010/10/09 13:57
『ミックマック』のがらくた
バジル(ダニー・ブーン)はギャングたちの撃ち合いの流れ弾を頭に受けて、そのせいで路上生活者となるんですが、そんな彼を仲間として受け入れてくれたのが廃品を回収してそれを再生している連中です。 で、連れて行かれた彼らのアジトの名が原題になっている<MICMACS A TIRE-LARIGOT>なんですね。 <MICMACS A TIRE-LARIGOT>は大雑把に<てんこ盛りの悪戯、悪巧み>ぐらいの意味で、アジトの外見はまさにてんこ盛りになったがらくたの山。 このがらくたが彼らの唯一にして最大... ...続きを見る

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2010/10/08 09:53
『メッセージ そして、愛が残る』、イニシエーションをめぐる事情
この映画に描かれているのはひとつのイニシエーションです。 それも、君ならそのイニシエーションを進んで受けるかね? と問われれば、僕たちの多くが敬遠したくなるような儀礼ですね。 とはいえ実はそれは特別な者だけが経験するものではないことも確かです。 僕たち自身、人生のどこかで経験するはずのもの。 それが限られた者たちにだけ特別な意味を帯びる。 だからその時が来たことを知らせる<メッセンジャー>としての役(ケイ医師)を、ジョン・マルコヴィッチという俳優がどんなに胡散臭げに演じたところで、彼が... ...続きを見る

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2010/10/04 17:38
『食べて、祈って、恋をして』の効用?
たとえばイタリアで知り合った仲間たちとリズ(ジュリア・ロバーツ)がレストランで食事をするシークェンスがあります。 イタリア語が少し上達した彼女は、自らメニューを手に次々とオーダーし、みんなの喝采を浴びるんですね。 それから彼女たちは何やら人生談義めいた会話を始めるわけです。 こんなとき、僕たちはふと、故エリック・ローメール監督が撮っていたらどんなシークェンスになったろうか、と考えてしまう。 こうした日常的なシーンで人生談義やら恋愛談義やらを撮ることにかけては、ロメール監督は最も優れた作家... ...続きを見る

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2010/09/27 14:36
『ナイト&デイ』、ブーツと暗示
試写状をいただいたので封切りを待たずに見てきました。 ...続きを見る

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2010/09/26 11:25
『バイオハザード IV アフターライフ』、3Dの功罪
『バイオハザード』シリーズの魅力は、何と言ってもミラ・ジョヴォヴィッチに尽きるでしょう。 2002年のシリーズ第一作当時が26歳。 それから8年後のこの作品でもなかなかのアクションシーンを演じてくれています。 逆にこの映画はそれだけ、と言ってしまえばそうなんですが(笑)、ジョヴォヴィッチのファンには嬉しい作品であることは間違いないと思います。 それにしても最近見た映画でいえば『ソルト』のアンジェリーナ・ジョリーといい、アメリカ映画にはアクションシーンが似合う女優が多い。 そう思うにつけ... ...続きを見る

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2010/09/20 09:44
『終着駅 トルストイ最後の旅』、ふたりの女性による教育
この映画には主に三人の女性が登場します。 ひとりはトルストイ夫人であるソフィヤ(ヘレン・ミレン)、それからその娘のサーシャ(アンヌ=マリー・ダフ)、そしてトルストイの弟子チェルトコフ(ポール・ジアマッティ)が主宰するトルストイの村で生活するマーシャ(ケリー・コンドン)です。 そのうち、主人公ワレンチン(ジェームズ・マカヴォイ)が大きく関わることになるのがソフィアとマーシャですね。 ...続きを見る

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2010/09/19 12:28
『オカンの嫁入り』、つるかめ、つるかめ、ジェームス・ディーン。
母親・陽子(大竹しのぶ)の突然の結婚宣言に動転した月子(宮崎あおい)は、翌朝母の弁当をもって勤め先である整形外科医院へ行きます。 そっと診察室の扉を開けると、医師の村上(國村隼)が肩を痛めた子供におまじないを教えてるんですね。 つるかめ、つるかめ。 このおまじないは、後に月子が正念場を迎えたときに再び口にされます。 問題はそれが誰によってどのように唱えられるかで、ただ単に月子が思わず発したというだけにとどまらないところがミソと言えるでしょう。 そのためこの「つるかめ、つるかめ」という言... ...続きを見る

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2010/09/17 18:33
『トラブル・イン・ハリウッド』、靴下・犬・ひげ。
別れた元妻ケリー(ロビン・ライト・ペン)のベッドの間から見つかった靴下の片方。 いつの間にか彼女には新しい恋人ができたらしいと憶測したベン(ロバート・デ・ニーロ)は、そのアーガイルの靴下を持ち帰り(笑)、当の恋人が誰なのかを突き止めようとします。 こうしてベンは修復不能の元妻との関係に拘泥する一方で、カンヌ映画祭出品予定の作品のエンディングをめぐって監督のジェレミー(マイケル・ウィンコット)ともめ、クランイクイン間近の作品についても、ひげを伸ばし放題でいっこうに役作りをしてくれない主役のブル... ...続きを見る

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2010/09/10 19:28
『セラフィーヌの庭』、有益な狂気?
Biglobeからメールを頂いて、それによると明日でこのブログを開設してから6周年を迎えるそうです。 途中、大胆に過去記事を削除したこともあって記事数は多くありませんが、それでもこの怠け者が6年も続けられたというのは我ながら驚きです。 内容も当初はむしろ敬遠していた映画にいつの間にか特化し、数えてみれば新作映画のレビューは今回が204本め。 まさかこれほど多くの映画をレビューすることになるとは思っていませんでした。 これまでこのブログを訪問してくださった方々、コメント・TBをお寄せくださ... ...続きを見る

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2010/09/08 18:48
『トイレット』、明瞭さとあいまいさ。
ばーちゃん(もたいまさこ)が本当に<それ>を望んでいたのか、僕たちにはわかりません。 確かにレイ(アレックス・ハウス)が見せた絵から<それ>を選んだのはばーちゃんだし、レイが<それ>を買ったことを知らせたとき、ばーちゃんは彼の手をとって感謝の気持ちを表しもしました。 でもその感謝は<それ>を買ってくれたことに対してなのか、それとも自分を気遣ってくれたことに対するものなのか、僕たちにはわからないわけです。 何しろ、この映画の中でばーちゃんが発する言葉はたったの二語だけですから。 ばーちゃん... ...続きを見る

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2010/09/04 17:38
『ヤギと男と男と壁と』のヤギらしきもの
彼らの<能力>がどの程度戦場で役に立っているのかはわかりません。 たぶんほとんど実用性はないし、それどころかほんとうに彼らがその<能力>を使うことができるかどうかも定かではないでしょう。 空に浮かぶ雲を見つめることで文字通り雲散霧消させたからといって、いったいそれをどう戦争に活用するんでしょうか? ...続きを見る

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2010/08/30 11:06
『シルビアのいる街で』、序章だけの物語は可能か?
映画の始まりから終わりまで、僕たちの耳には、ストラスブールの街を行きかう人々の足音がまるでバックグランドミュージックのように響き渡ります。 同時に主人公の青年(グザヴィエ・ラフィット)が歩けば、すれ違う人々の話し声や通り過ぎる車から鳴り響く音楽、トラムの車輪の軋む音など街の生活音が耳に入ってくることでしょう。 でももちろんドキュメンタリーのようにすべての街の音が拾われているわけではありません。 どの音を入れてどの音を外すのか。 それは周到に計算されていて、その中で特権的に音の主役を担って... ...続きを見る

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2010/08/15 11:16
『ペルシャ猫を誰も知らない』、視界不良の空。
ネガル(ネガル・シャガギ)とアシュカン(アシュカン・クーシャンネジャード)は、制約の多いテヘランでバンド活動を続けることに限界を感じ、ロンドンで演奏することを夢見ます。 そこで密売人のナデル(ハメッド・ベーダード)を通じパスポートとビザを取得しようとするわけです。 映画はナデルにその才能を高く評価された彼らが、パスポートを手にする前に、最後にテヘランでライブを開こうと東奔西走する様を描いています。 ...続きを見る

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2010/08/14 20:12
『華麗なるアリバイ』、脱・推理ドラマ
原作にはエルキュール・ポワロが登場するんだそうです。 が、もしこの作品にポワロが現れたりすれば、僕たちはひどく違和感を覚えるでしょう。 なぜなら彼の活躍の場は、この作品にはほとんどといっていいほど用意されていないからです。 つまりポワロを外した時点で、パスカル・ボニゼール監督には「推理ドラマ」を作る意図がまるでなかったわけですね。 ...続きを見る

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2010/08/11 17:36
『ソルト』、飛ぶ女の自己回復
本当か嘘か、フィリップ・ノイス監督が最も意識している監督は『ボーン』シリーズのポール・グリーングラス監督なんだそうです。 いったいどんな文脈でこの名前が出てきたのかは不明なんですが、でもまあ、さもありなんと思うんですね。 というのは、ひたすらスクリーンの中を飛び回った『ボーン・アルティメイタム』のジェイソン・ボーン(マット・デイモン)に負けず劣らず、この『ソルト』の主人公イヴリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)もまたとにかく飛んでくれるからです(笑)。 いや、ソルトの場合、飛ぶというよ... ...続きを見る

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2010/08/03 13:26
『インセプション』の悪意あるインセプション
サイトー(渡辺謙)の夢の中に入りこんで企業秘密を盗みだすことに失敗したコブ(レオナルド・ディカプリオ)は、逆にその力を買われてサイトーに雇われることになります。 その仕事というのが、サイトーのライバル企業の御曹司であるロバート(キリアン・マーフィ)の夢の中に入りこんで、あるアイディアを「インセプション」することです。 「インセプション」というのは字幕では「植えつけ」といういい訳語を使ってますが、もともとは始まり、設立というほどの意味で、この映画の場合、人の潜在意識の中にアイディアの始まりとな... ...続きを見る

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2010/08/02 20:31
『アデル/ファラオと復活の秘薬』、怪盗淑女
映画を見る前は、主人公のアデル(ルイーズ・ブルゴワン)はもっと悪女なのかと思っていました。 それはこちらの半ば願望だったのかもしれませんが(笑)、実際に映画を見てみると、まったくそうではないんですね。 もっとも、ルイーズ・ブルゴワン嬢に悪女を期待するのは見当違いだろうというのは、映画が始まってしばらくすればわかることでもあります。 だから映画は、収まるべきところにちゃんと収まったというべきでしょうか。 ...続きを見る

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2010/07/29 16:59
『エアベンダー』、三人ということ。
これまでのシャマラン監督の映画、たとえば不意の効果音によって僕たちを驚かせるような作風を期待すると、この『エアベンダー』にはあっさり裏切られるかもしれません。 ここにはお化け屋敷的な鳴り物はほとんどなくて、ごくオーソドックスなドラクエ的世界があるばかりだからです。 でもそれもまた実はシャマラン作品の特徴のひとつなんだろうということに、僕たちは次第に気づいていくことでしょう。 ...続きを見る

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2010/07/25 10:42
『おのぼり物語』、肘井美佳の足取り。
カメラマンとしての成功をあきらめ大阪へ戻ることを決心した野島由美子(肘井美佳)が、主人公の漫画家カラスヤサトシこと片桐聰(井上芳雄)と飲み明かし、酔いつぶれた聰のアパートを訪れます。 玄関先で聡は眠ってしまい、手持ち無沙汰の由美子は、まるで聖域に踏みこむかのようにおずおずした足取りでひと間きりの部屋の中に入っていく。 カメラは部屋の奥、画面手前の畳の上に据え置かれていて、このシーンはワンショットで撮られています。 聰の姿は開けられたガラス戸越しにぼんやりと捉えられ、最初僕たちは、聰と向かい... ...続きを見る

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2010/07/23 09:51
『ボローニャの夕暮れ』、三つの壁
大ざっぱに言ってこの映画には三つの壁が登場します。 ひとつは、殺人を犯したジョヴァンナ(アルバ・ロルヴァケル)が収監された拘置所の鉄扉であり、鉄格子です。 ふたつめはやはりジョヴァンナが収容された施療院の金網ですね。 このふたつには共通点があって、それは三つめの壁と密接に関連するんですが、ともに父親のミケーレ(シルヴィオ・オルランド)はそれを越えることができるのに、母親デリア(フランチェスカ・ネリ)は近づくことすら忌避しているということでしょう。 ミケーレは度々拘置所の鉄扉の中に入ってジ... ...続きを見る

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2010/07/22 10:41
『必死剣 鳥刺し』、半ば死んでいる。
映画を見終えた後で、この『必死剣 鳥刺し』が『しゃべれどもしゃべれども』を撮った平山秀幸監督の手によるものだと知りました。 で、かつてこのブログにアップした『しゃべれどもしゃべれども』のレビューを読み返すと、「(他にも)いいシーンは少なくないんですが、残念なことに、それが全体として一本の映画となったときどうもうまくない」というようなことを書いてます。 なるほど。 同じことはどうやらこの『必死剣 鳥刺し』についても言えるのかもしれません。 確かに、たとえば深めの焦点深度で撮った冒頭の能のシ... ...続きを見る

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2010/07/15 17:44
『レポゼッション・メン』、不道徳性の回避?
回収(レポゼッション)屋という名のもと、どんなに肩書きや職務を取り繕ってみたところで、主人公レミー(ジュード・ロウ)たちのやっていることは殺し屋と同じなんですね。 ただ、いったいどんな法理論によるのか彼らの活動は合法的で、だから彼らはほぼためらいも罪の意識もなく人を殺していくわけです。 中でもレミーは最も有能な回収屋のひとりということになるでしょう。 もちろん自分たちの活動が法に則ったものなら、たとえ家族の同意が完全には得られていないとしても、当人たちが後ろめたく感じる理由はないはずです。... ...続きを見る

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2010/07/12 21:46
『クレイジー・ハート』、湖上の釣り
ジーン(マギー・ギレンホール)からの電話を途中で切り上げた二日酔いのバッド(ジェフ・ブリッジス)は、トイレに駆けこみ、そのまま眠りこけてしまいます。 やがてバッドと釣りへ行く約束をしていたウェイン(ロバート・デュヴァル)がやってきて、彼をむりやり湖へ連れ出すんですね。 湖面に浮かべた船の上、ビールを片手に釣り糸を垂れるバッドは、当然とはいえ冷淡な息子の言葉から受けた傷をウェインに癒してもらうわけです。 もしこのときにウェインが口ずさむ歌がいわばひとつ暗示だとすれば、アルコール中毒のバッドが... ...続きを見る

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2010/07/10 10:51
『ザ・ロード』、北から南へ
『ザ・ウォーカー』が西へ歩く映画なら、こちらは南へ向かう映画です。 前者にはなぜ「西」なのかということに明快な理由がなかったんですが、こちらの「南」には「暖かいから」というわかりやすい理由があります。 南へ行けば寒さがしのげるかもしれないし、食糧も見つかるかもしれない。 そしてその「南」は、『ザ・ウォーカー』の「西」がひとつの島へと収斂していったように、この映画では「海」と同義語になっていきます。 したがって僕たちは『ザ・ウォーカー』に「なぜ西なのか」と問うたように、この映画に対しては「... ...続きを見る

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2010/07/08 22:49
『ザ・ウォーカー』、東から西へ、西から東へ。
イーライ(デンゼル・ワシントン)はひたすら西へと歩きます。 なぜ西なのか、は僕たちにはわかりません。 それが天の意思だと彼は言いますが、彼自身もその理由は知らないし、たぶん西に向かう必然性はないんですね。 最終的にイーライがたどり着いた場所についても、そこである必然性はほとんどないでしょう。 ではなぜ西なのか。 ...続きを見る

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2010/07/03 13:07
『アウトレイジ』、エントロピーは増大する。
今年の3月、『絵描き小僧(Gosse de peintre)』と題された個展を開くためにパリを訪れた北野監督は、記者会見の席で、「『アキレスと亀』はオヤジからジジイへ脱皮する儀式だった」と、独特の言い回しで前作『アキレスと亀』が彼の映画監督としてのキャリアの中でひとつの結節点だったことを明かしています。 それはデビュー作以来、ひたすら歩き続ける北野作品の登場人物たちを見てきた僕たちにとっても、疑問を差しはさむ余地のない言葉でしょう。 前を歩く者とその後ろを歩く者。 北野作品の登場人物たちは... ...続きを見る

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2010/06/22 11:30
『パリ20区、僕たちのクラス』の緊迫感
原題(『Entre Les Mur』=部屋の中)が示す通り、映画の大半は教室の中の授業風景です。 それも国語教師のフランソワ(フランソワ・ベゴドー)とひとすじ縄ではいかない生徒たちとのやりとりがほとんどなんですね。 実に単純な映画なんです。 でも、これほど緊張感、緊迫感のある教室の風景を、僕たちはかつて見たことがあるでしょうか? それは「授−業」という一方的なものではなくて、ちょっと大げさに言うと、大人と子供の実存的対峙といっていい。 そこにはたとえば、モンスターペアレントといった「部... ...続きを見る

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2010/06/21 21:55
『FLOWERS フラワーズ』、走る女たち。
最初にこの映画を撮った小泉徳宏監督を擁護しておくと(笑)、たとえこの作品がいったい何をしたかったのか皆目わからない代物だとしても、その責の多くを監督が負うべきかどうかは疑問だということです。 たとえば昭和11年が舞台という凛(蒼井優)の家の廊下は、そこにあるはずの階段が決して映されることがないという点で、忠実に小津安二郎作品を再現しています。 だからどうなんだ、ということなんですが(笑)、こういう表現が適切かどうかは別として、こうした企画作品の雇われ監督としては、「昭和11年は小津で頼むよ」... ...続きを見る

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2010/06/17 09:36
映画『告白』の律儀な完結性
某社の携帯電話の有名なCMに、白い犬を父親に仕立てたシリーズものがあります。 あのCMを最初のものから最新のものまでずっとつないでいくと、きっとこんな映画になるんじゃないか。 そんな風に思いたくなるのがこの『告白』という映画です。 何も作り手の中島哲也監督がCM作家出身だからこんなことを言っているわけじゃありません。 ...続きを見る

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2010/06/16 21:58
『ヒーローショー』、弱者としてのヒーロー
そもそもヒーローなんていないわけです(笑)。 ショーでも一番目立っているのは悪役の剛志(桜木涼介)で、ヒーローショーというよりはヒールショーでしょう。 実際、抗争を演じる男たちは誰もヒーローとは呼びがたい。 ではなぜヒーローショーなんでしょうか? ...続きを見る

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2010/06/14 10:15
『座頭市 THE LAST』、血を流すな。
この映画の一番の特徴は、刀で斬られてもほとんど血が出ないということです。 もちろんまったく血が流れないのではなく、必要最低限に抑えられていると言うべきでしょうか。 これは何も、阪本順治監督がより残酷でない描き方を選択したということが理由ではないでしょう。 たとえば僕たちの世代は、かつてヤクザ映画や剣劇で人が斬られる度にまるで破裂した水道管のごとく血しぶきが飛ぶのを見てきたわけで、その意味でこの『座頭市 THE LAST』は対極にあると言えます。 ...続きを見る

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2010/06/13 18:51
シネマのリハビリカプセル 第36回 『四川のうた』
今回は賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督編の最後、『四川のうた』(2008年製作、2009年公開)です。 ...続きを見る

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2010/06/10 17:46
映画『パーマネント野ばら』、母であること
一番のキャッチコピーが「菅野美穂8年ぶり主演最新作」となると、およそ映画館に足を運ぶのをためらいたくもなるものです(笑)。 ですが『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』も『クピオ大佐』も見ていない僕としては、一度は吉田大八監督の作品を見ておきましょう、と。 それがこの『パーマネント野ばら』でよかったのかどうかはわかりませんが。 ...続きを見る

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2010/06/04 20:48
『ローラーガールズ・ダイアリー』、新たな映画屋の誕生。
ローラーゲームと聞けばすぐさま東京ボンバーズという名前が浮かぶのが僕たちの世代です。 その懐かしい記憶を探りながら、一方ではなぜ今さらという思いを抱きつつ映画館に足を運んだわけですが、たちまち、そんな先入観は捨てなければこれが監督デビュー作となるドリュー・バリモアに失礼だと気づかされることになります。 冒頭ビューティーコンテストの控え室らしき風景が映されて、うまく言葉では説明できないんですが、その距離感の的確さに、これは間違っても女優業の片手間に撮られた作品じゃないということがわかるわけです... ...続きを見る

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2010/06/02 22:19
『春との旅』、ずれと視線
海を映したカメラがやや性急にパンして、あばら家から飛び出す忠男(仲代達矢)と春(徳永えり)の姿を捉えたとき、真っ先に僕たちが気づくのはふたりの歩き方がそっくりだということです。 足が不自由なためにちょっと片足をひきずっている祖父と、その後を慌ててついていく孫娘とは、同じように体を左右に揺らしながらがに股で歩くんですね。 どうしてそうなったのかは誰にもわからないんですが、ふたりは一種の相似形を描いて、それがふたりの絆を証明してくれることでしょう。 こうした相似形は他にもあって、たとえば春が思... ...続きを見る

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2010/05/30 10:53
『鉄男 THE BULLET MAN』、マニア垂涎の蒸気機関人間
主人公アンソニー(エリック・ボシック)の体は怒りによって鉄と化していきます。 その様子はさながら暴走する蒸気機関車のようで、蒸気を吹き上げ真っ黒なオイルをまき散らし、轟音を上げて体内機関をフル回転させながら敵に突進していくんですね。 すると不埒だと思いながらも、「鉄男」を人の名前だと思っていたほどの予備知識しかなかった僕は、このタイトルからつい「鉄ヲタ」という言葉を連想してしまうのでした。 もちろんこれは塚本晋也監督にも鉄道マニアにも失礼ですから、あくまで僕のとりとめもない言葉遊びだと思っ... ...続きを見る

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2010/05/29 10:53
『グリーン・ゾーン』、飛べない男
この映画で最も重要な登場人物は、たぶん、謎解き隊長のミラー(マット・デイモン)でも、嘘つきジャーナリストのローリー(エイミー・ライアン)でも戦争官僚のパウンドストーン(グレッグ・キニア)でもCIAの香具師マーティン・ブラウン(ブレンダン・グリーソン)でもありません。 では誰かといえば、もちろんミラーに密告に近い貴重な情報をもたらしたイラク人のフレディ(ハリド・アブダラ)です。 彼は流暢に英語を話すため、半ば強引に通訳としてミラーに雇われ、行動をともにすることになるんですね。 ...続きを見る

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2010/05/27 10:34
『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』、目くじら立てることもあるまい。
たとえば『レッドクリフ』のスローモーションには疑問符をつけながら、この映画の場合にはちょっと不問に付そうか、と言えば、それは僕の偏見のせいでしょうか? でもこの映画を見ると、香港映画の一部は確かに日本のやくざ映画と同じ系譜上にあるということを感じさせてくれるわけです。 仇討ちを主材に、仁義と人情と花吹雪の塩・胡椒。 その調味料のひとつがスローモーションだと考えるなら、そう目くじら立てることもあるまい。 そう思えるんですね。 ピストルを刀に持ち替えれば、これはれっきとしてやくざ映画で、僕... ...続きを見る

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2010/05/26 12:42
シネマのリハビリカプセル 第35回 『長江哀歌』
今回は賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督の3回目、『長江哀歌』(2006年)です。 ...続きを見る

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2010/05/20 17:23
『プレシャス』、夢見る赤いスカーフ
『幸せの黄色いハンカチ』(1977年、山田洋次監督)という映画がありましたが、この映画はさしずめ夢見る赤いスカーフといったところでしょうか。 冒頭、真っ赤なスカーフがひらめくのを仰角で捉えるショットから映画はスタートします。 主人公プレシャス(ガボレイ・シディベ)はすぐに目の前の現実から妄想というか夢の中へ逃げこむような女の子なんですが、そのとき彼女が着けているのがこのスカーフなんですね。 もちろんいつも赤いスカーフというわけではなくて、ときにそれは赤いカチューシャともなり、彼女は大切な日... ...続きを見る

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2010/05/13 19:08
『オーケストラ!』の定冠詞
たとえば先日レビューした『17歳の肖像』の原題は『An Education』で、an という不定冠詞を使っているんですが、この『オーケストラ!』の原題は『Le Concert』で定冠詞がついています。 ですからこの定冠詞が、この映画の肝のひとつだと思っていいでしょう。 つまり『17歳の肖像』では、年の離れた男との恋愛が主人公にとってはひとつの教育だった、というのに対し、『オーケストラ!』で主人公のアンドレイ・フィリポフ(アレクセイ・グシュコフ)たちがボリショイ交響楽団の名を騙ってパリで行おう... ...続きを見る

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2010/05/06 19:51
シネマのリハビリカプセル 第34回 『世界』
今回は賈樟柯(ジャ・ジャンクー)監督の2005年の作品、『世界』です。 何の形容詞もなくただ『世界』と言い切るのは何ともまた大胆なタイトルだと驚かされるんですが、とりあえずは、テーマパーク「世界公園」が舞台となっていることに由来しているんですね。 でも、いったんはそれで納得するとしても、映画を見進めるにつけ、やはりそれほど穏やかなものではないと気づくでしょう。 ...続きを見る

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2010/05/05 16:35
『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』、仲里依紗ちゃんの足技
『ヤッターマン』(2008年)が深キョンのための映画なら、この『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』は仲里依紗ちゃんのための映画と言っていいでしょう。 『ヤッターマン』のドロンジョ(深田恭子)はどこか愛すべき悪女でしたが、このゼブラクイーン(仲里依紗)は強烈な悪の個性の持ち主です。 『時をかける少女』(2010年、谷口正晃監督)のお茶目な女子高生とはうってかわったサディスティックな役どころを、里依紗ちゃんが渾身の熱演を見せてくれているんですね。 ほとんど上映時間を引き伸ばすためとしか思えない... ...続きを見る

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2010/05/04 13:49
『17歳の肖像』のオヤジ心
デイヴィッド(ピーター・サースガード)の年齢は定かではないんですが、いいトシの男が16歳の女子高生に言い寄るとすれば、およそロリコンかわけありだと思っていいでしょう(笑)。 一方で彼に言い寄られる主人公のジェニー(キャリー・マリガン)が『ロリータ』(1962年、スタンリー・キューブリック監督)のスー・リオンほどに妖しい魅力の持ち主ではないんだとすれば、およそふたりの恋の行方はわかりそうなものなんですね。 実際、この映画には彼女の恋の結末までは意図的に映すことを避けられているものがあって、僕た... ...続きを見る

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2010/05/03 09:37
『第9地区』の3年後
映画の中のエイリアンというのは、たいてい何らかの意図をもって地球へやってくるんですが、この『第9地区』の場合、彼らはどうやら宇宙を航行中に難破して地球に漂着したんですね。 第9地区というのは彼らの難民キャンプの名称です。 宇宙人といえども難民ですから、当然、彼らは人間たちの抑圧と搾取の対象になるわけです。 したがってこの抑圧と搾取の描写は、何らかの問題提起や批評性の表れというよりは、難民の歴史に照らした必然的帰結といっていいでしょう。 「難民」というプロフィールを与えられた時点で、エイリ... ...続きを見る

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2010/04/29 10:17
『アリス・イン・ワンダーランド』、剃刀と剣
いつの間にかすっかり「大作」を手がける映画監督として名を馳せているティム・バートン監督。 いったいぜんたい、それがこの愛すべき作家にとってふさわしい栄光なのかどうかと訝りつつも、かねてより縁の深いディズニーでとうとう3D映画まで撮ったというのですから、それはそれで大いに祝福すべきことなんだろうと自分に言い聞かせるわけです。 どうしても、不幸な幸運、という類の言葉が脳裏を掠めてしまうとしても。 ...続きを見る

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2010/04/26 08:20
『息もできない』の個人的な暴力。
原題は『Breathless』。 ジャン=リュック・ゴダール監督の『勝手にしやがれ』(1959年、"A Bout De Souffle [=息切れして]")のハリウッド・リメイク版『ブレスレス』(1983年、ジム・マクブライド監督)の原題と同じですね。 そのためか、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督は「『勝手にしやがれ』を初めて見たときのような衝撃」というようなコメントを寄せているようです。 ただしきっとそれは、この映画そのものが『勝手にしやがれ』を思い起こさせるということではないと思います... ...続きを見る

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2010/04/21 15:04
『シャッター アイランド』、再び擬装というシェルターについて。
謎解き委員会だったか何だったか正式な呼称は忘れましたが、とにかくそんな団体からのメッセージやら、たぶん配給会社がつけただろうメッセージやらが本編の前に流れて、いかにもこの映画が「謎解きドラマ」であるとミスリードするかのようです。 ここであえてミスリードという言葉を使うのは、仮にこの『シャッター アイランド』が「謎解き」映画のように見えたとしても、実のところそれは擬装に過ぎないように思えるからですね。 『ディパーテッド』(2006年)がそうだったように、この『シャッター アイランド』もまた数多... ...続きを見る

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2010/04/17 19:48
『やさしい嘘と贈り物』、やはり映画は愛しい。
原題が『Lovely, Still』と聞いて思い出したのは、『夜顔』(2006年、マノエル・デ・オリヴェイラ監督)です。 『夜顔』はルイス・ブニュエル監督の『昼顔』(1967年)の38年後を描いた作品で、『昼顔』の原題『Belle De Jour(昼顔)』に対し、語呂合わせで『Belle Toujours(まだ美しい、いつも美しい)』という原題がつけられていました。 で、この映画の『Lovely, Still』は、『Belle Toujours』を英語に置き換えたものじゃないか、ということで... ...続きを見る

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2010/04/12 16:30
『ウディ・アレンの 夢と犯罪』、アメリカの叔父と不吉な亡霊船
この作品は『マッチポイント』(2005年)、『タロットカード殺人事件』(2006年)に続く、ロンドン3部作の最後の作品にあたります。 先行して日本で公開された『それでも恋するバルセロナ』(2008年)は、この『夢と犯罪』の後に作られているんですね。 ...続きを見る

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2010/04/04 10:16
『マイレージ、マイライフ』、キャリーバッグの中身
映画は解雇請負人である主人公のライアン(ジョージ・クルーニー)が、クライアントに依頼された対象者に解雇を伝えて説得するところから始まります。 カメラは解雇される者たちを斜め正面から捉え、彼らの哀訴を描写する。 ほぼ同じようなカメラ位置でのシーンがラストにもあって、ただし彼らは解雇された後再び職に就いた者たちで、その苦境を乗り越えるのに「家族」の果たした役割がいかに大きかったかについて、半ドキュメンタリータッチで語るんですね。 109分の上映時間で起きた変化は、つまりはまあこういうことで、そ... ...続きを見る

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2010/04/03 15:56
『NINE』、21世紀にミュージカル映画は可能か?
これはフェデリコ・フェリーニ監督の『81/2』の翻案なんだそうです。 確かにそうなんでしょうね。 主人公の映画監督の名前グイド(ダニエル・デイ=ルイス)や映画で主演するはずのクラウディア(ニコール・キッドマン)、愛人のカルラ(ペネロペ・クルス)の名は『81/2』から借りたものだろうし、そこかしこにフェリーニ監督の作品を思わせる引用があります。 物語も明らかに『81/2』の焼き直しですね。 が、その視点から観る限り、どこまでいってもフェリーニ作品の周辺をポールダンスのように回り続けることに... ...続きを見る

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2010/03/29 13:04
映画『スイートリトルライズ』、帰らなきゃ。
冒頭の朝食シーンあたりから、これみよがしに「ペア」になったものたちが僕たちの前に幾度となく映し出されます。 椅子の上に並べられた2体のテディベア。 玄関に脱がれている2足の靴。 そもそもこの映画は、夫の聡(大森南朋)とともにダブルベッドで眠る妻・瑠璃子(中谷美紀)が目覚めるところから始まるわけで、だからペア=夫婦としてのふたりの在りようを描くのがこの作品のテーマだ、そう言いたいのかもしれません。 ...続きを見る

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2010/03/23 13:54
谷口正晃監督版『時をかける少女』、円と四辺形
初めて僕たちの世代が映像としての『時をかける少女』に出会ったのは、1972年にNHKで放送された『タイムトラベラー』『続 タイムトラベラー』でした。 主演は島田淳子さんで、子供心に彼女のセーラー服姿に胸をときめかせた記憶があります。 現在はミュージシャンの柳ジョージ氏の奥さんになられてますね。 次に僕たちが出会うのは、1983年、原田知世主演で大林宣彦監督が撮った映画『時をかける少女』です。 これは大林監督の尾道三部作の第二作で、懐古趣味的な映像と原田知世ちゃんとが不思議にマッチした作品... ...続きを見る

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2010/03/22 08:27
『シャーロック・ホームズ』の首吊り
監督が自分の作品について語る言葉をいちいち信じる必要はないし、ましてその解釈通りに映画を見る必要もありません。 でも、この作品を見た後にふとガイ・リッチー監督のプロフィールが目に入り、「子どもの頃に見た『明日に向って撃て!』(1969年、ジョージ・ロイ・ヒル監督)が映画監督を目指すきっかけだった」という一文をそこに見つけたりすると、何となく腑に落ちた気になってしまうものです。 なるほど、これはガイ・リッチー監督にとっての『明日に向って撃て!』なんだろうか、と。 ...続きを見る

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2010/03/16 17:41
『噂のモーガン夫妻』、何がモーガン夫妻に起こったか?
原題の『DID YOU HEAR ABOUT THE MORGANS?』が台詞として登場人物のひとりによって口にされるのは、殺人犯に顔を見られたモーガン夫妻(ポール:ヒュー・グ、メリル:サラ・ジェシカ・パーカー)が、証人保護プログラムよって密かにワイオミングへ護送された後のことです。 ポールの秘書がメリルの会社を訪ね、彼女の秘書にこのひと言を口にするんですね。 「モーガン夫妻のこと、聞いた?」 で、この直訳では邦題にふさわしくないというわけで、『噂のモーガン夫妻』になったわけです。 なか... ...続きを見る

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2010/03/15 18:32
『しあわせの隠れ場所』の優秀なレフトタックル
原題の『The Blind Side』は、通常は死角や盲点という意味です。 同時にアメフトやラグビーの用語としては、攻撃スペースが開けている側を「オープンサイド」と呼ぶのに対し、「ブラインドサイド」は狭いスペースの方を表します。 映画では、主人公のマイケル(クィントン・アーロン)はアメフトチームのレフトタックルとしてクォーターバックの「死角」を守り、あるいは敵のディフェンスをブロックしながら「ブラインドサイド」にラニングバックが走りこむスペースを作る役割を担っているわけですね。 ...続きを見る

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2010/03/13 17:56
『すべて彼女のために』の教育的チャート
冒頭からジュリアン(ヴァンサン・ランドン)&リザ(ダイアン・クルーガー)夫妻の濃厚なキスシーンがあります。 その後もふたりは僕たちの前でうんざり(笑)するほど抱擁とキスを繰り返してくれることでしょう。 ふたりのこのキスシーンを見ていると、ああ、確かにフランス映画にはこんなクローズアップの系譜があったなあ、と今さらながら気づかされたりするわけですね。 一方でフランスはヌーヴェルバーグの作品群を生み出しだのでもありますから、つくづく不思議な国だと思わないではいられません。 ...続きを見る

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2010/03/12 16:46
『バレンタインデー』のほどほどでない上映時間
主人公のひとり、花屋のリード(アシュトン・カッチャー)が恋人モーリー(ジェシカ・アルバ)と同棲しているアパルトマンの前を流れる運河に、太鼓橋状にゆるやかな弧を描く橋がかかっています。 この橋は3度ほど登場して、1度めはリードがモーリーにプロポーズしたときです。 2度めはリードがモーリーにふられたとき。 そして最後はリードがジュリア(ジェニファー・ガーナー)から恋の告白を受けるとき。 リードにとって重要な場面は、この橋が舞台になっていると言っていいでしょう。 もっともこの橋は、かつて映画... ...続きを見る

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2010/03/05 18:55
シネマのリハビリカプセル 第33回 『青の稲妻』
最初におことわりです。 少し前にお話ししたとおり、過去の記事を整理し、とくに時事的な記事は賞味期限切れということで削除しました。 このブログは2004年9月からスタートしてるんですが、かなり大胆に削除したので、スタート当初の記事はほぼ消滅(笑)。 まあそのことでご迷惑をおかけするようなことはないでしょうけれど、どうぞご容赦ください。 同時にサイドバーに並べていたレビュー記事の映画タイトル一覧が飽和状態になってきましたので、別ページを作成しました。 別窓をひらく煩わしさ、ご了承いただける... ...続きを見る

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2010/03/04 11:10
『人間失格』、今日も小雪の降りかかる。
主人公の大庭葉藏(生田斗真)という男は、とりあえずのところは友人であるらしい堀木正雄(伊勢谷友介)ならずとも、男からすると実に妬ましく思える存在です。 何しろ眼差しが交わった瞬間、女たちは彼に惚れてしまう。 まあほんと、こんな男に生まれたかったものだと僕たちは思うわけです。 が、当の葉蔵はどうやらそうではありません。 「女のいないところへ行きたい」なんて嘯いていて、それがますます僕たちの浅ましい嫉妬をかきたてるんですね。 ...続きを見る

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2010/03/01 13:50
今さらエリック・ロメールを追悼することになるだなんて。
死からひと月以上も経ってその事実を知るとは、なんておまぬけでしょうか。 最近、どれほど僕が世の中から遠く離れて生活しているかということがよくわかるというものです。 たまたま今朝、渋谷のユーロスペースの上映スケジュールに<エリック・ロメール追悼特集上映 アデュー・ロメール>というタイトルを発見し、愕然としたのでした。 もしユーロスペースのサイトを見なければ、僕はまだ彼の死をしばらくは知らないまま生活していたかもしれません。 いや、その方が幸福だったんでしょうか? ...続きを見る

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2010/02/28 10:47
『恋するベーカリー』、50代の恋は複雑だ。
前回『50歳の恋愛白書』をレビューしたんですが、その邦題はこちらの方にふさわしい気がしないでもありません。 主人公のジェーン(メリル・ストリープ)と元夫であるジェイク(アレック・ボールドウィン)はともに50代後半。 離婚して10年、ようやくジェーンは過去を忘れたところだというのに、ちょっとしたなりゆきからふたりは一夜をともにしてしまう。 そのせいで、すでに再婚しているにもかかわらずジェイクは復縁を求め始め、ジェーンの心もまた揺れ動くんですね。 一方で、同じようにバツ1で建築士のアダム(ス... ...続きを見る

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2010/02/26 19:29
『50歳の恋愛白書』、50歳の肩透かし
2月14日、日曜日。 隣で『バレンタインデー』が公開されているにもかかわらずこちらの映画をふたりで見たのは、何もともに50歳を目の前にしているからではありません(笑)。 原題は『The Private Lives of Pippa Lee (ピッパ・リーの私生活)』ですから、この際邦題は無視しましょう。 ...続きを見る

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2010/02/18 14:17
シネマのリハビリカプセル 第32回 『アイム・ノット・ゼア』
今回はトッド・ヘインズ監督編の最後、『アイム・ノット・ゼア』(2007年製作、2008年日本公開)です。 ...続きを見る

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2010/02/14 12:44
『インビクタス/負けざる者たち』、揺るがざる映画屋魂
冒頭、白人たちがラグビーをしている様子が映され、やや俯瞰気味のカメラがフェンスを越えると、一本の道路を挟んでもうひとつのグラウンドでは黒人の子供たちがサッカーを楽しんでいます。 なるほど、このふたつのグラウンドを隔てる埋めがたい谷のような一本の道、これが問題なんだ、映画はこの黒人と白人の間に横たわる深くて暗い一本の道をめぐって語られていくことになるんだろう―。 僕たちはそう思うわけです。 でもその予測は正しいでしょうか? 映画を見終えた今、僕たちは、それが間違っていただろうことを確信して... ...続きを見る

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2010/02/12 17:00
『抱擁のかけら』、アルモドバル監督の悪意
『ボルベール<帰郷>』でアルモドバル監督への苦手意識はある程度払拭したつもりだったんですが、なかなかどうして。 たとえば冒頭、誰かがスナップ風に撮影風景か何かを撮っている映像に続いて、いきなり主人公(ルイス・オマール)の片方の目がアップで映されるんですね。 こうしたショット、カットのつなぎが度々見られて、自分でもうまく説明できないんですが、こんなところがどうも駄目らしい(笑)。 ですから僕はアルモドバル作品にはあまりふさわしくないレヴュワーなんでしょうけれど、決して「悪い」作品だと思ってい... ...続きを見る

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2010/02/08 21:42
シネマのリハビリカプセル 第31回 『エデンより彼方に』
トッド・ヘインズ監督編は、今回は残念ながら1990年代の作品を見ることができないため、2002年製作の『エデンより彼方に』からになります。 ...続きを見る

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2010/02/07 11:15
『ラブリーボーン』、見ること・見られること
主人公のスージー(シアーシャ・ローナン)の趣味は写真を撮ることです。 将来はカメラマンになりたいという彼女は、親に買ってもらった24本ものフィルムをあっという間に使ってしまい、今後は月1本だけと制限されてしまうほど。 だから「見る」ことには極めて意識的なんですが、どうやら「見られる」ことには無頓着なんですね。 好意を寄せているレイ(リース・リッチー)をまつ毛一本の動きにいたるまで細かに観察しているくせに、彼が注ぐ眼差しの対象が自分であることにはまったく鈍感なわけです。 ...続きを見る

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2010/02/06 14:48
『ユキとニナ』、関係性の運動
最初におことわりとお詫びを。 映画レビューのインデックスがいよいよ左サイドバーに収まりきらなくなってきたので、近々、索引用のページを作ることにしました。 で、そのついでというわけではないんですが(笑)、過去の記事、とくに時事ネタについては削除しようかと。 過去の記事を恣意的に削除するのは無責任かもしれませんが、古い時事ネタですからご容赦ください。 最近はすっかり映画レビューのブログになっていますので、過去記事についても方向性を統一しようということでもあります。 あくまで近々、の予定です... ...続きを見る

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2010/02/05 19:10
シネマのリハビリカプセル 第30回 『接吻』
今回のリハビリカプセルは万田邦敏監督編の2本め、『接吻』(2006年)です。 ...続きを見る

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2010/02/04 09:59
『Dr.パルナサスの鏡』、吊るされた男
この映画の登場人物たちは、なぜかみんな高いところに上りたがります。 パルナサス博士(クリストファー・プラマー)は遠い昔、高い山の頂にある寺院の僧だったし、Mr.ニック(トム・ウェイツ)との賭けに負けては高い絶壁の上で落ちこんでいる。 トニー(ヒース・レジャー、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレル)も鏡の世界では、雲の上を目指してはしごを上ろうとするんですね。 ...続きを見る

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2010/02/03 10:58
『かいじゅうたちのいるところ』の毛皮の山
母親(キャサリン・キーナー)とケンカをして家を飛び出したマックス(マックス・レコーズ)が、玩具のような小さなヨットに乗ってたどり着いた場所はちょっと不気味な島。 それがどこの島なのか、僕たちはもちろんマックスにもわかりません。 ただそこには不思議なかいじゅうたち(THE WILD THINGS)が生きているらしい。 折りしも彼らは出て行ってしまったKW(ローレン・アンブローズ)をめぐってケンカの真っ最中です。 そこでその中へ思わず飛び出していったマックスは、どうにか彼らを言いくるめて、一... ...続きを見る

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2010/01/24 10:33
『シャネル&ストラヴィンスキー』、蜘蛛の交尾
昨年からガブリエル・シャネルを主人公にした映画が続けて公開され、このブログでも3本めのレヴューになります。 この『シャネル&ストラヴィンスキー』と、先行して公開された『ココ・シャネル』と『ココ・アヴァン・シャネル』との大きな違いは、後者の2本が「ガブリエル・ココ・シャネル」という固有名詞を前提に映画が成立しているのに対して、この作品は必ずしもそれを必要としてはいないことでしょう。 もっともそのこと自体は、映画の成否と無関係であることは言うまでもありません。 この『シャネル&ストラヴィンスキ... ...続きを見る

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2010/01/20 13:33
シネマのリハビリカプセル 第29回 『ありがとう』
リハビリカプセルは今回から2回にわたって万田邦敏監督編です。 1990年代の作品という趣旨からはずれますが、よろしくおつきあいください。 まずは2006年の『ありがとう』です。 ...続きを見る

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2010/01/18 17:54
『ジュリー&ジュリア』、リピート・アフター・ミー。
冒頭、ル・アーヴルあたりの港に着いたチャイルド夫妻は、車でルーアンを経由してパリへ向かいながら、フランス語の練習をします。 夫である米国情報局員のポール(スタンリー・トゥッチ)が「リピート・アフター・ミー」と言った後フランス語のフレーズを口にし、妻ジュリア(メリル・ストリープ)がその通り繰り返す。 で、その50年後、引っ越したばかりのパウエル夫妻の新居でも同様のことが行われています。 新居に不満を漏らす妻ジュリー(エイミー・アダムス)に、夫のエリック(クリス・メッシーナ)が「リピート・アフ... ...続きを見る

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2010/01/17 09:53
『海角七号/君想う、国境の南』の魔法の楽器
あけましておめでとうございます。 今年も拙ブログとよろしくおつきあいくださいますようお願いいたします。 ...続きを見る

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2010/01/08 21:37
シネマのリハビリカプセル 第28回 『サッドヴァケイション』
今回はいよいよ青山真治監督編のラスト、 『サッドヴァケイション』(2007年)です。 ...続きを見る

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2009/12/26 11:24
『2012』(R・エミリッヒ監督)、安心して見られるディザスター映画。
この映画の最大の長所は、スクリーン上でどんな惨事が展開されようと、安心して見ていられることです(笑)。 何しろこの地球上の数十億もの人々や地上の生物たちが死滅し、生き残るのはわずかばかりの動物たちと数十万の人間だけなんですから。 つまりこの映画では死ぬことが自然であり、生き残ることは自然に反した営みなんですね。 だからたとえ主人公の友人一家が津波に飲みこまれようと、僕たちは穏やかな気持ちで彼らの死を見届けることができるわけです。 僕たちはほとんど登場人物たちに感情移入することなく、傍観者... ...続きを見る

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2009/12/24 14:50
シネマのリハビリカプセル 第27回 『エリ・エリ・レマ・サバクタニ 』
青山真治監督編の9本めは2005年製作、2006年公開の『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』です。 ...続きを見る

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2009/12/19 21:18
シネマのリハビリカプセル 第26回 『レイクサイド マーダーケース』
さて今回は青山編の8回め、2004年製作、2005年公開の『レイクサイド マーダーケース』です。 公開当時この作品がどんな評価を受けたのか僕は記憶していないんですが、中にはTVの2時間ドラマみたいだと思った人もいるんじゃないでしょうか。 実際、上映時間は118分で約2時間ですね。 青山監督には珍しくオリジナルではなく、東野圭吾の原作を使用しているのがその一因かもしれません。 僕自身は、この映画がもしTVドラマ的だとすれば、一番の原因はフジテレビが製作したことだと思ってはいるんですが。 ... ...続きを見る

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2009/12/18 22:53
『パブリック・エネミーズ』の越境?
もしこの映画が痛快に感じられるとするなら、それは主人公のジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)の越境の身振りが堂に入っているからでしょう。 彼はすでに全米中に名の知れ渡った銀行強盗です。 たとえば映画館に入れば、本編上映の前に彼の手配写真が映し出されている。 「あなたの隣を確かめてみましょう」というアナウンスにうながされ、観客たちは自分の左右を見て大胆にも彼がそこで自分たちと一緒に映画を楽しもうとしていないかと確認するんですね。 でもそんな困難な状況からでさえ、彼ならするりと抜け出すこ... ...続きを見る

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2009/12/17 11:15
シネマのリハビリカプセル 第25回 『月の砂漠』
青山真治監督編に入ってはや10ヶ月。 ちょっと、というかずいぶん時間をかけてしまいましたので、何とか今月中に青山編を終えるべく頑張ってレビューしたいと思います。 ということで、今回は2001年製作、2003年公開(ほんとでしょうか?)の『月の砂漠』を観ます。 ...続きを見る

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2009/12/14 11:55
シネマのリハビリカプセル 第24回 『EUREKA ユリイカ』
今回は2001年に公開された青山真治監督の『EUREKA ユリイカ』です。 ...続きを見る

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2009/12/02 10:12
『イングロリアス・バスターズ』を観なければ年は越せない。
「痛快戦争アクションなんて喧伝されながら、この映画に戦争映画らしい戦闘シーンが皆無」であることに、タランティーノ作品に親しんだ僕たちなら今さら驚いたりはしないでしょう。 『レザボア・ドッグス』(1991年)で宝石強盗の映画でありながら強盗シーンをまったく撮ることなく映画作家としてのキャリアを始めたタランティーノ監督ですから、むしろこれはまさに彼らしい映画だと言っていいわけですね。 もちろん同様のことはその後の作品でも繰り返されていて、タランティーノ監督の作品の歴史は、そうしたあからさまな「無... ...続きを見る

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2009/11/27 10:26
『あなたは私の婿になる』の「父親の壁」
この映画もまた、「ジェリコの壁」(『或る夜の出来事』、1934年フランク・キャプラ監督)の変奏ととらえるべきでしょうか? もちろん変奏であることがとりたてて悪いわけでも素晴らしいわけでもなくて、ただアメリカ映画というのはどうしてこれほどジェリコの壁が好きなんだろう、と思ってしまうわけです。 そして変奏だとわかっていながら、僕たちもまたどうしてこれほど「ジェリコの壁」を見てしまうんだろう、と(笑)。 ...続きを見る

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2009/11/04 17:21
『空気人形』、人形としてのペ・ドゥナの肉体
前回『ヴィヨンの妻』のレビューで、「語りのていねいさ」の点で『空気人形』とは大きな差がある、と書いたんですが、それはたとえば『空気人形』のシーム(つなぎ目)について見てみるとよくわかります。 感情を持ってしまった空気人形ののぞみ(ペ・ドゥナ)は、「安物」であるせいで、体の両脇から首筋、そして太ももの裏側にもシームが走っています。 彼女はそれをとても気にしていて、あるとき、通りがかったメイクサロンで首筋のシームをコンシーラーのようなもので隠してもらうんですね。 まずそのときの彼女の微笑む横顔... ...続きを見る

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2009/10/16 15:32
『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』、グッドバイ。
海外の映画賞を受賞するというのは素晴らしいことですし、称賛されてしかるべきことだと思います。 ただしピンク映画やにっかつロマンポルノ時代の作品で滝田洋二郎監督や根岸吉太郎監督と出会った僕たちには、奇しくもふたりがたて続けに海外で賞を獲得したからといって、さほど新鮮味をもって作品を迎えることができないでいるのも事実でしょう。 実際滝田監督の『おくりびと』は、結局映画館に足を運ぶことなく上映が終わってしまいましたし、この『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』も、見るべきかどうか悩んだことは確かです... ...続きを見る

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2009/10/15 19:02
シネマのリハビリカプセル 第23回 『SHADY GROVE』
今回は青山真治監督編の5回め、『SHADY GROVE(シェイディー・グローブ 〜恋は突然に〜)』(1999年)です。 ...続きを見る

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2009/10/07 20:42
『リミッツ・オブ・コントロール』、試金石としての映画
『ブロークン・フラワ−ズ』以来4年ぶりに撮影されたジム・ジャームッシュ監督の『リミッツ・オブ・コントロール』。 この映画を前にして、僕たちはいったい何を語ることができるんでしょうか。 『ブロークン・フラワ−ズ』には「居心地の悪さ」というちょっと韜晦ぎみの賛辞を贈った僕ですが、この映画と対峙するにはそんな韜晦さえ役に立たないように思えます。 ...続きを見る

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2009/10/03 15:45
映画『カムイ外伝』、血と肉
実は崔洋一監督の作品を見るのは初めてなので確言はできないんですが、崔作品には「血」の赤をテーマとする思い入れがあるんでしょうか。 この『カムイ外伝』の冒頭、カムイについての概説が終わった後、白土三平の作画から実写へと移るところで、スクリーンが血しぶきのような赤で染まっていきます。 この血しぶきの赤は他のところでもお目にかかるわけですが、僕たちはそのたびに何とも言いがたい違和感を覚えるんですね。 もちろんそれは否定的な意味ではなくて、たぶんこうした違和感が映画の魅力のひとつだろうということで... ...続きを見る

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2009/09/26 20:55
『ココ・アヴァン・シャネル』、ふたりのミューズ
『ココ・アヴァン・シャネル』を試写会で観てきました。 まだ公開前ですので、今回のレビューはなるべくネタばれしないようにしたいと思います。 ...続きを見る

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2009/09/10 19:11
シネマのリハビリカプセル 第22回 『冷たい血 AN OBSESSION』
今回は青山真治監督編の4回め、1997年公開の『冷たい血 AN OBSESSION』です。 ...続きを見る

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2009/09/09 14:44
『キャデラック・レコード 〜音楽でアメリカを変えた人々の物語〜』、ビヨンセの不幸?
ビヨンセがミュージシャン役で出演した映画といえば『ドリームガールズ』(2006年、ビル・コンドン監督)を思い出します。 『ドリームガールズ』は公開時に観てはいるものの、あまりに退屈だったため、レビューをまとめることさえしないで無視してしまいました。 いや、でも、決してビヨンセに対して悪意をいだいているわけではないんです。 むしろ同情的でさえあるんですね。 だからこの『キャデラック・レコード』は、内容がどうであれとりあえずレビューはアップしようじゃないか、そう覚悟を決めて(笑)映画館に足を... ...続きを見る

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2009/08/30 19:46
『ココ・シャネル』、シャーリー・マクレーンのくわえ煙草
この映画の一番の見どころは、きっとシャネルを演じるシャーリー・マクレーンのくわえ煙草だろうと思います。 彼女は手にした煙草が邪魔になると、それを消さずに無造作に口にくわえるんですね。 そうしてそのままモデルたちの衣装を整えたりする。 もちろんこれは演出というよりはシャネル自身の習慣です。 シャネルの伝記本を開けば、挿入写真の中に必ず一枚ぐらいはくわえ煙草の彼女を見つけることができるでしょう。 ...続きを見る

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2009/08/19 12:56
『ターミネーター4』の預言テープ
鑑賞券をいただいたので、『ターミネーター4』を観に行ってきました。 ...続きを見る

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2009/07/23 09:44
『それでも恋するバルセロナ』の異邦人体験?
久しぶりのレビューは、どちらかといえば苦手なウディ・アレン監督の『それでも恋するバロセロナ』です。 原題は『VICKY CRISTINA BARCELONA』ですね。 『マッチポイント』(2005年)、『タロットカード殺人事件』(2006年)、『Cassandra's Dream』 (2007年)のロンドン三部作に続いて、今度はバルセロナなんだよ、というわけです。 このヨーロッパ・シリーズの特徴は何といってもスカーレット・ヨハンソンが連続起用されている点で、彼女は四作品のうち三本に出演して... ...続きを見る

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2009/07/20 14:30
『愛を読むひと』の変節
この映画のちょっと性急とも受け取られかねない主人公ふたり(ハンナ=ケイト・ウィンスレット、マイケル=レイフ・ファインズ)の関係の進展は、どこか『ラストタンゴ・イン・パリ』(1972年、ベルナルド・ベルトルッチ監督)を思い起こさせます。 もちろん物語はまったく違うんですが、偶然出会った歳の離れた男女が秘密の逢瀬を重ねて互いの身体を貪りあうという設定は、男女の年齢差を逆にすれば『ラストタンゴ・イン・パリ』のポール(マーロン・ブランド)とジャンヌ(マリア・シュナイダー)の関係とよく似ているでしょう。... ...続きを見る

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2009/06/29 13:05
『レスラー』、歩く背中。
『レスラー』のチケットをネット予約し終えたところへ、突然三沢光晴さんの訃報。 そのあまりの急逝とともに何とも居心地の悪い偶然にびっくりしました。 もちろん僕がチケットを取ったことと三沢さんの死が重なった偶然にじゃなくて、この映画の公開とともに彼がリング上で死んでしまったという偶然にです。 運命の女神というのはしばしば本当に悪意に満ちている、そう思わないではいられませんでした。 ...続きを見る

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2009/06/15 13:04
『おと・な・り』の音と音楽
あえて言うまでもなく、『おと・な・り』というのは「お隣」と「音鳴り」をかけていて、つまり「お隣の音」ということです。 で、言うまでもないと断りつつ(笑)なぜあえてそう指摘するのかといえば、そのテーマからするととてももったいない映画だと思うからです。 ...続きを見る

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2009/06/14 07:58
『ベルサイユの子』と『星の王子さま』
もしかするとギョーム・ドパルデューの新作を見られるのはこれが最後だろうかと思うと、やはりちょっと複雑な思いがします。 父のジェラール・ドパルデューは、息子の葬儀で、サン=テグジュペリの『星の王子さま』から次の一節を朗読したそうです。 ...続きを見る

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2009/06/13 17:52
シネマのリハビリカプセル 第21回 『WiLd LIFe』
久しぶりのリハビリカプセルです。 競馬ブログを復活させた上、今週はダービーウィークですのでそちらの記事をアップするの力を入れてしまっていますが、こちらもサボらずに続けていきたいと思います。 ...続きを見る

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2009/05/31 13:43
『スラムドッグ$ミリオネア』の糞ダメ
主人公の兄サリームの幼少時代を演じたアズルディン・モハメド・イスマイル少年が、スラム街の家から立ち退きを強要されて路上生活を余儀なくされたと聞くと、まさに映画さながらの人生だと、何だか妙な感慨を覚えたりもします。 ただ彼の場合、残念ながらもらったのはオスカーでミリオン・ルピーじゃなかったんだなあ、と。 ...続きを見る

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2009/05/19 16:59
『バーン・アフター・リーディング』、主人公であることを拒絶する主人公
もし拙ブログでレビューしたように『ノーカントリー』(2007年)が主人公を疎外していく物語だとすれば、同じコーエン兄弟監督が撮ったこの『バーン・アフター・リーディング』もまた、主人公を物語の周縁へと追いやっているのでしょうか? というより、いったいぜんたい、この物語の主人公は誰なのか? ...続きを見る

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2009/05/12 16:09
『グラン・トリノ』、仁王立ちするイーストウッド
これが俳優クリント・イーストウッドの見納めなのかと思うと、つい『グランド・トリノ』という作品を感傷的に見てしまいそうになります。 たとえばポーチで椅子に腰掛け、ビールを飲みながらあたりに目を配るウォルト(クリント・イーストウッド)に西部劇のシェリフのの姿を重ね合わせて、そういえばクリント・イーストウッドはセルジオ・レオーネ監督のマカロニ・ウェスタンで映画俳優としてのキャリアを始めたんだった、なんて感慨に耽りながら記憶を辿ってみたくなるんですね。 でも必要以上に感傷にひたれば作品を見誤ってしま... ...続きを見る

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2009/05/08 15:20
『ある公爵夫人の生涯』、相似形の二人
冒頭、チャールズ・グレイ(ドミニク・クーパー)たちを走らせて賭けを楽しむジョージアナ(キーラ・ナイトレイ)を、館の二階からデヴォンジャー公爵(レイフ・ファインズ)が窓越しに眺めるシーンがあります。 このシーンは映画の後半にもう一度繰り返されていて、そのときに窓の外を眺めているのはジョージアナです。 窓が曇っているのかあるいは他の理由があるなのか、なぜか部分的にぼやけているところもそっくり反復されているんですね。 この反復は何でもないことのように見えますが、実は大きな意味をもっています。 ... ...続きを見る

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2009/04/29 15:19
『レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦―』に吹く予定調和の風
『レッドクリフ Part II』公開直後に映画館に足を運んだのは、何も続編が見たくていてもたってもいられなかったというわけではなくて、「サービス料金」に釣られてしまったからです(笑)。 そうでなければ孔明(金城武)みたいに扇子を優雅にあおぎながら、まだまだのんびり構えていたかもしれません。 ...続きを見る

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2009/04/14 17:13
『リリィ、はちみつ色の秘密』の三姉妹
黒人姉妹の映画と言えば真っ先に思い出すのは『カラー・パープル』(1985年、スティーヴン・スピルバーグ監督)ですが、同時にこの『リリィ、はちみつ色の秘密』の場合、三姉妹の映画でもあります。 もともとは四人だった姉妹は、登場したときにはすでに一人が早世していて三人なんですね。 やがて物語が進むにつれ、三姉妹はいったん二人になるものの、すぐさま再び三人に戻ります。 この人数の変動、振り子のように4から2へと振れた姉妹の人数が3で均衡するのは原作に従っているんでしょうが、4でも2でもなく3、とい... ...続きを見る

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2009/04/07 11:30
『ワルキューレ』、「真実」であるということ。
いつかはブログで言及することになるかな、と思っていたことがあって、それが今回でもいいのかも知れないと思いました。 何のことかというと、ここ数年映画の公開にあたって、「事実に基づく物語」だとか「本当にあった物語」というコピーが増えているということです。 もちろん以前からこの謳い文句は決して珍しいものではなかったんですが、最近とくにその傾向が強まっているように思えます。 この風潮は、まったくの「フィクション」より「事実に基づく」ものであることの方が、「映画」にとってはより価値があると思える土壌... ...続きを見る

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2009/03/31 11:06
『ヤッターマン』、深キョンへの不埒な興味
この実写版『ヤッターマン』について語り始めると、およそ誰もがドロンジョ役の深田恭子ちゃんに行きついてしまう。 例えばバットマンなら、マイケル・キートンであれクリスチャン・ベールであれ、マスクを着けた瞬間から彼はバットマンであり、彼がどうバットマンを演じるかということ以上にバットマンを監督がどう設定・演出するか、ということが大切なわけです。 が、この『ヤッターマン』のドロンジョはちょっと事情が違います。 このドロンジョはドロンジョである以前に、まず深キョンなんですね。 深キョンはマスクを着... ...続きを見る

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2009/03/27 09:22
『チェンジリング』の赤い唇
慌しかった身辺がようやく少し落ち着き、つながらなかったインターネットも復旧して、久々にブログを更新させていただきます。 今回はクリント・イーストウッド監督の『チェンジリング』のレビューです。 ...続きを見る

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2009/03/24 16:27
『ブロークン・イングリッシュ』の逆輸入
どたばたしていてレビューを書けないでいるうちに東京では上映が終了しましたが、遅ればせながらアップしておきます。 ...続きを見る

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2009/02/26 08:34
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』、グッナイ・ベイビー。
ベンジャミン(ブラッド・ピット)の育ての母クイニー(タラジ・P・ヘンソン)は、寝る前に必ず「グッナイ・ベイビー」とベンジャミンに声をかけます。 「グッナイ・ベイビー」というと僕らの世代はキングトーンズなんですが(笑)、それはさておき、ベンジャミンが80歳過ぎの赤ん坊のときも、年齢と肉体がほぼ一致した40代の頃も、その挨拶は変わらないんですね。 母親にとって子供は何歳になっても子供で、肉体が80歳を越えていようが、どんどん若返っていこうが、クイニーにとっては関係ないわけです。 ...続きを見る

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2009/02/16 15:40
シネマのリハビリカプセル 第20回 『チンピラ』
青山真治監督編の2回めは『チンピラ』(1996年)です。 ...続きを見る

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2009/02/14 17:00
シネマのリハビリカプセル 第19回 『Helpless』
久しぶりのリハビリカプセルは、今回から青山真治監督編です。 まずは1996年の長編デビュー作『Helpless』から。 ...続きを見る

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2009/02/13 01:08
『クローンは故郷をめざす』、欠落と共鳴と。
優秀な宇宙飛行士として才能を高く買われている耕平(及川光博)は、合法クローン・プロジェクトへの登録を要請され受諾します。 彼はなぜ、不慮の事故に際して自分をクローン再生することを認めたのか。 それはたぶん、「欠落」を埋めるために他ならないでしょう。 彼は幼い頃自分のせいで双子の弟を死なせ、それ以来半身が「欠落」してしまった者として人生を生きてきたんですね。 そもそも耕平の家庭は父親が「欠落」しているわけですが、その「欠落としての家庭」をさらに方向づけたのが弟の死だったわけです。 もし彼... ...続きを見る

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2009/02/06 15:35
『我が至上の愛 〜アストレとセラドン〜』の牧歌的エロティシズム
待望のエリック・ロメール監督の作品です。 ロメール監督のコスチュームプレイと言えば、『O侯爵婦人』(1990年)や『グレースと公爵』(2001年)が思い出されるわけですが、物語の展開としては『クレールの膝』(1970年)や『海辺のポーリーヌ』(1983年)をどこか彷彿とさせるかも知れません。 ...続きを見る

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2009/02/04 18:19
『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』、男を不幸にする顔
とりたてて何か特別なことや拙いことが起きているというわけではないのに、この映画が始まったときから僕たちはどうにも落ち着かない気分にさせられます。 それはいったいなぜなんでしょうか? その理由がわからないまま、一方で物語は僕たちの予想通りに展開していきます。 ウィーラー夫婦(レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ウィンスレット)の計画は破産して、彼らの間に破滅へのカウントダウンが聞こえ始めるんですね。 そして本格的にカウントダウンが宣言されたとき、唐突に、僕たちに居心地の悪さを感じさせていたも... ...続きを見る

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2009/01/31 17:05
『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』の葉巻
寒中お見舞い申し上げます。 昨年の後半はかなり順調に記事をアップしていたにもかかわらず、年末になってペースダウン。 すでに最後の更新から一ヶ月あまりがすぎてしまいました。 年に何度かはこういうことがあるんですが、見放さずにおつきあいしていただきたいと思います。 どうぞ今年もよろしくお願いいたします。 ...続きを見る

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2009/01/26 12:30
シネマのリハビリカプセル 第18回 『パルプ・フィクション』
タランティーノ編の最後は、レンタル店の都合により後回しになった『パルプ・フィクション』(1994年)です。 もし過去4回のタランティーノ編を読んでいただいている方がいらっしゃれば、このレビューがどんな内容になるのか、およその見当がつくんじゃないでしょうか。 そして、たぶんその予想は正解だろうと思います(笑)。 ...続きを見る

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2008/12/07 16:10
『その土曜日、7時58分』、彼は三度逃げた。
主人公の兄弟の弟、ハンク(イーサン・ホーク)は三度逃げます。 最初は強盗の現場から。 二度めは母親ナネット(ローズマリー・ハリス)の葬儀の席から。 そして最後は、共犯者ボビー(ブライアン・F・オバーン)の妻クリス(アレクサ・パラディノ)のもとから。 ...続きを見る

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2008/12/04 11:05
『ブラインドネス』の百足の隊列
収容所の中に張られた一本のロープ。 それは医者の妻(ジュリアン・ムーア)が考案したもので、このロープを伝って歩くことで、目が見えなくても目的の場所まで歩いていくことができるわけです。 このロープと相似形をなしているのが、彼女たちが集団で歩くときに作る隊列です。 彼女たちは手をつなぎ、あるいはグレイシー・トレインのように後ろを歩く者が自分の前を歩く者の肩をつかんで、縦一列になって歩いていくんですね。 そうすることが、「白の闇」の中で生き延びていく唯一の方策であるかのように。 彼らのその姿... ...続きを見る

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2008/11/28 10:32
シネマのリハビリカプセル 第17回 『デス・プルーフ in グラインドハウス』
タランティーノ監督編の4回めは昨秋公開された『デス・プルーフ in グラインドハウス』(2007年)です。 デビュー作以来、あからさまな「無視」あるいは「欠落」の周辺で語られてきたタランティーノ作品が、その空白を満たすことを目指し始めたかのように見えた『キル・ビル』二作品。 この『デス・プルーフ in グラインドハウス』は、どうなんでしょうか。 ...続きを見る

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2008/11/24 21:57
シネマのリハビリカプセル 第16回 『キル・ビル vol.1&vol.2』
今回は『キル・ビル』(2003年)と『キル・ビル vol.2』(2004年)とをまとめてレビューします。 タランティーノ監督は「(二作品を)個別の映画として観て欲しい」と語ったそうですし、実際とくにvol.2はvol.1を観ていなくても十分楽しめる作品になっています。 が、ここは監督の意向を無視して、あえて一つの作品としてレビューすることにしました。 「無視」するというのは何ともタランティーノ的じゃありませんか(笑)。 ...続きを見る

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2008/11/22 16:46
『彼が二度愛したS』の扉
原題は『Deception』。 欺くこと、というほどの意味でしょうか。 ジョナサン(ユアン・マクレガー)がイニシャル「S」の女性(ミシェル・ウィリアムズ)を二度愛したのかどうかは僕にはわかりませんが(笑)、誰かが誰かを欺いていることだけは確かです。 いったい誰が誰をどのように欺いているのか。 それがこの映画の仕掛けで、サスペンスの吊り紐というわけです。 ...続きを見る

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2008/11/20 21:24
シネマのリハビリカプセル 第15回 『ジャッキー・ブラウン』
製作順でいけば『パルプ・フィクション』(1994年)なんですが、レンタル店の都合により(笑)『パルプ・フィクション』はタランティーノ監督編の最後にまわし、今回は『ジャッキー・ブラウン』(1997年)をレビューします。 ...続きを見る

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2008/11/17 12:01
『かけひきは、恋のはじまり』、1925年のフットボール・泥田編
これがジョージ・クルーニーの初監督作品かと思えばそれはまったくの僕の不勉強で、どうやらすでに三本めの作品ということになるようです。 ともあれ、過去二作品はいざ知らずすでに手馴れた演出ぶりのこの作品を観れば、クルーニー監督がアメリカン・ニューシネマ以前のハリウッド映画をいかに愛しているかということがよくわかるでしょう。 もちろんそのことがたちまち懐古的と非難されるいわれは少しもありません。 たとえば冒頭のシーンで映された群衆は、『レッド・クリフ PartI』の兵士たちに比べればはるかによく撮... ...続きを見る

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2008/11/16 15:01
シネマのリハビリカプセル 第14回 『レザボア・ドッグス』
今回からクエンティン・タランティーノ監督編です。 昔からの悪い癖で、キャリアのスタートを見損ねた監督の作品はなぜか気が引けてしまって、二作めも三作めも見送ってしまう傾向が僕にはあります。 そのせいで、僕の映画空白期である90年代、あるいはその前後にデビューした監督の作品は、2000年代に入ってもまったく観ていないケースが多いんですね。 クエンティン・タランティーノ監督の場合もそうで、昨秋公開された『デス・プルーフ in グラインドハウス』も含め、実は彼の作品を一本も観ていません。 このま... ...続きを見る

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2008/11/12 16:07
シネマのリハビリカプセル 第13回 『TAKESHIS'』
今回はいよいよ北野武監督編の最終回、『TAKESHIS'』(2005年)です。 ...続きを見る

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2008/11/08 12:23
『レッドクリフ Part I』、優雅な羽ばたき
ジョン・ウー監督と言えばダイナミックなアクション・シーンに定評がある(らしい)んですが、僕としては、彼の特徴はスローモーションにあるんじゃないかとつねづね思っていたわけです。 ただしほとんど好意的に観てはいないことを告白しておかなければ、たぶんフェアじゃないかも知れません(笑)。 そこへもってきてこの『レッドクリフ Part I』ではこれまで以上にスローモーションが多用されていて、まあ、ここまで監督が好むならそれはそれで評価すべきだろうかねぇ、と、つい情にほだされずにはいられない(笑)ほどな... ...続きを見る

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2008/11/06 11:40
『ブーリン家の姉妹』のうなじと唇
姉妹の物語といえば、真っ先に思い出されるのはリリアン&ドロシー・ギッシュ姉妹の『嵐の孤児』(1922年、D.W.グリフィス監督)でしょう。 リリアン・ギッシュはそれから60年の時を超えて、『八月の鯨』(1987年、リンゼイ・アンダーソン監督)でベティ・デイヴィスと老姉妹役を演じてもいます。 もっとも、うららかな陽差しの中、麦穂を揺らしながら少女たちが戯れる『ブーリン家の姉妹』の冒頭は、どちらかといえば『カラーパープル』(1985年、スティーブン・スピルバーグ監督)を思い起こさせるかも知れませ... ...続きを見る

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2008/11/05 13:39
『イーグル・アイ』のタネ明かし
設定の矛盾やら強引さを指摘するのは野暮というものでしょう。 そもそも映画なんて作り手の妄想をフィルムに焼きつけただけのものなんですから。 たとえば「アリア」にとっては代えの利かない存在であるはずのジェリー(シャイア・ラブーフ)を、彼女はなぜこれほどムチャな方法で「搬送」するのか(笑)? そんなことを問うたら、作品そのものが成立しなくなってしまうわけです。 ...続きを見る

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2008/11/04 13:50
シネマのリハビリカプセル 第12回 『座頭市』(北野武監督版)
今回は北野武監督編の9回め、『座頭市』(2003年)です。 「主に1990年代の作品」という「リハビリカプセル」の対象から外れますが、次回の『TAKESHIS'』同様、よろしくおつきあいください。 ...続きを見る

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2008/11/03 18:07
シネマのリハビリカプセル 第11回 『Dolls』
北野武編の8回めは『Dolls』(2002年)です。 『菊次郎の夏』(1999年)と『BROTHER』(2000年)は以前観ているということで今回は外しました。 もっとも、こうしてまとめて北野作品をレビューしてみるとこの2作品を参照・引用できるほど憶えて=観てはいないことが歴然ですので、いずれまた観直すことになるのかも知れませんが。 逆に『Dolls』から『座頭市』、『TAKESHIS’』までの3本は、2000年代に入ってからの作品でありリハビリカプセルの趣旨からは外れるんですが、せっかく... ...続きを見る

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2008/10/30 14:59
『P.S. アイラヴユー』の子作り強迫。
どうやらこの映画の女性たちにとって、男との相性はキスで決まるようです。 葬儀のパーティーで男探しをするデニース(リサ・クドロー)がつきあう相手を選ぶときの条件は、まず独り者であること。 それからゲイでないこと。 仕事を持っていること。 そして最後にその場でキスをしてみて味試し。 他の条件を満たしていてもキスが合わないと感じたらアウトなんですね。 実際彼女はそうして実業家と結婚することになります。 ホリー(ヒラリー・スワンク)の場合も事情は同じで、ジェリー(ジェラルド・バトラー)との... ...続きを見る

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2008/10/29 11:36
シネマのリハビリカプセル 第10回 『HANA-BI』
北野監督編の7回めは、『HANA-BI』(1998年)です。 ...続きを見る

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2008/10/28 12:15
シネマのリハビリカプセル 第9回 『キッズ・リターン』
今回は北野監督編の6回め、『キッズ・リターン』(1996年)です。 ...続きを見る

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2008/10/27 22:17
シネマのリハビリカプセル 第8回 『みんな〜やってるか!』
リハビリカプセル第8回、北野監督編の5回めは『みんな〜やってるか!』(1995年)です。 ...続きを見る

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2008/10/26 11:46
『宮廷画家ゴヤは見た』の呪われたお間抜け画家
よほど呪われた画家なんだろうと思います。 何しろ彼が肖像画を描いた人々はみんな不幸になっていくんですから。 ロレンソ神父(ハビエル・バルデム)は恥ずかしい「告白」を強要された上、聖職を追われ、一度はフランス革命軍将校として権力を握るものの、最後は絞首刑にされてしまう。 富裕な商家の娘イネス(ナタリー・ポートマン)は異端審問にかけられ、獄中でロレンソ神父の子をみごもった挙句半ば狂人となって、絞首刑で息絶えた神父の手を取りながらどことも知れない墓堀場へ消えていく。 彼女の一家も革命軍かあるい... ...続きを見る

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2008/10/23 14:45
シネマのリハビリカプセル 第7回 『ソナチネ』
このところ「リハビリカプセル」のアップが増えているのは、このために入会したレンタル店が半額キャンペーン中だからです(笑)。 どうせ観るものなら安いうちに、と。 そんなわけですからどうぞよろしくおつきあいください。 ...続きを見る

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2008/10/22 11:33
シネマのリハビリカプセル 第6回 『あの夏、いちばん静かな海。』
今回は北野武監督編の3回め、『あの夏、いちばん静かな海。』(1991年)です。 ...続きを見る

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2008/10/21 11:57
シネマのリハビリカプセル 第5回 『3−4x 10月』
今回は北野武監督編の2回め、『3−4x 10月』(1990年)です。 ...続きを見る

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2008/10/20 12:51
『次郎長三国志』、映画は男と女
この世は所詮男と女の睦みごと。 だから「男」はどこまでもいなせに、「女」は限りなく艶やかに撮られなければいけない。 まるでそれが最優先事項であるかのようです。 そのためときとして作品は崩れ、ときとして叙情に過ぎ、語りは迂回する。 ですからいろんな事情が錯綜としてはいるんですが、次郎長(中井貴一)一家が三馬政(竹内力)を追うのは結局のところ女のため、というのも当然なのかも知れません。 もちろん黒駒の勝蔵(佐藤浩市)のように黒船に関心を持ったり、久六(蛭子能収)のように堅気衆とうまく折り合... ...続きを見る

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2008/10/16 23:42
『私がクマにキレた理由(わけ)』の標本づくり
主人公アニー(スカーレット・ヨハンソン)の趣味は「文化人類学的」な標本を作ること。 ですから彼女はことあるごとに街を行きかう人々を標本化し、分類してみせるわけです。 メアリー・ポピンズを気取って傘を片手にマンハッタンの風に乗ってみせるのも、もちろん標本採集のためです。 イーストサイドで優雅に生活するセレブたちの文化的生態を観察し標本化する、そのためのフィールドワークというわけですね。 でもメアリー・ポピンズに倣うのがただの気取りでしかないように、彼女の文化人類学的なアプローチもまた半分は... ...続きを見る

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2008/10/15 23:40
ギョーム・ドパルデューの死
驚いた。 ギョーム・ドパルデューが亡くなったそうです。 恥ずかしながら僕は彼がジェラール・ドパルデューの息子という程度のことしか知らず、『ランジェ公爵夫人』(2007年 ジャック・リヴェット監督)では、何とまあ父親譲りの存在感を持つ俳優だろうと、そんな幸福な感想しか持ってはいませんでした。 聞くところによると、オートバイ事故のせいで長年感染症に悩まされた挙句右足を切断していたとのこと。 死因も感染症に起因する肺炎によるものらしい。 『ランジェ公爵夫人』のあの不自然な足取りは、必ずしも演... ...続きを見る

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2008/10/14 21:43
シネマのリハビリカプセル 第4回 『その男、凶暴につき』
昨日のエントリーで新作映画のレビューが101本めと書いたんですが、ブログ全体では今日の記事でようやく200エントリーということになります。 ほぼ4年と1ヶ月、つまり49ヶ月で200エントリーですから、何とまあのろい歩みでしょうか。 『アキレスと亀』になぞらえれば、「アキレスは亀に追いついた」どころかとうに追い抜いて、僕はすっかり周回遅れになっていそうです(笑)。 とはいえこれからもこのペースが上がるとは思えないんですが、どうぞスローな更新に愛想を尽かすことなくおつきあいいただきたく願います... ...続きを見る

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2008/10/14 20:28
『トウキョウソナタ』、それを暁とは呼ぶまい。
ブログの左サイドバーにレビューをアップした新作映画のタイトルを並べているんですが、前回の『アキレスと亀』がちょうどその100作めにあたり、今回の『トウキョウソナタ』が101作めになります。 この切れのいい数字を北野作品が記し、黒沢作品が次の一歩を飾ることになったのは、果たして奇遇と言うべきでしょうか? とにもかくにも、怠け者の僕がよくも100本もレビューしたものだと、我ながら驚く次第です。 今後もよろしくどうぞ。 ...続きを見る

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2008/10/13 12:36
シネマのリハビリカプセル 第3回 『エスター・カーン めざめの時』
今回はアルノー・デプレシャン監督編の最後、『エスター・カーン めざめの時』(2000年)です。 ...続きを見る

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2008/10/08 22:59
『アキレスと亀』の最後で最初のショット。
以前、黒沢清監督の『アカルイミライ』のレビューで、黒沢作品が二項対立をどんどん非-意味化していく未決定な世界でできているのに対し、北野武監督の映画では、つねに決定的な瞬間に不意打ちされることを覚悟しなければいけない、というようなことを書きました。 北野監督の『アキレスと亀』を観終えた今も、たぶんこの言葉はそれほど間違ってはいないように思えます。 「思えます」なんて歯切れの悪い言い方をするのは作家論めいた論評をできるほど北野作品を観てはいないからで、この点については近々「シネマのリハビリカプセ... ...続きを見る

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2008/10/04 14:07
『おろち』は『ブーリン家の姉妹』に勝てるのか?!
この映画、『おろち』じゃなくて『門前家の姉妹』というタイトルでもよかったんじゃないか(笑)。 『ブーリン家の姉妹』より公開は先だから、パクリと言われる恐れはなさそうだし。 実際おろち(谷村美月)が登場しなくても十分に作品として成り立ちます。 ただしその場合、映画は息苦しいほどに重厚な「人間ドラマ」になってしまい、意に反して『ブーリン家の姉妹』と拮抗してしまっていたかも知れません。 いや、『ブーリン家の姉妹』はまだ観ていないので確かなことは言えないんですが。 どちらにしてもおろちという人... ...続きを見る

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2008/10/02 15:01
シネマのリハビリカプセル 第2回 『そして僕は恋をする』
映画というのは時間です。 たとえジャン=リュック・ゴダール監督が、どんなにフィルムを断片化し音や映像を分断したところで、それがひとつながりの作品となればやはりそれは時間となる。 181分という、フツウの作品に較べれば1時間程度は長いだろうこの『そして僕は恋をする』(アルノー・デプレシャン監督、1996年)という作品は、改めてそのことを僕たちに意識させてくれます。 もちろんこの作品が喚起する時間というのは、長さではなく持続のことです。 何とまあ、濃密で豊かな語りの持続。 それが美しいほど... ...続きを見る

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2008/09/30 13:09
『最後の初恋』、無防備な女
エイドリアン(ダイアン・レイン)は友人のジーン(ヴィオラ・デイヴィス)に頼まれて、彼女が経営するホテルの留守番を引き受けます。 でもこの浜辺に建てられているホテルというのがとても無防備なんですね。 デッキから下る階段はそのまま打ち寄せる波の中に沈んでいるし、戸締りも怪しい。 実際、予約を入れて訪れたポール(リチャード・ギア)は、迎える人のないままエイドリアンがたたずむデッキまでずんずん入りこんでしまいます。 ...続きを見る

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2008/09/29 11:46
『グーグーだって猫である』、ねこまたよやよや。
冒頭、漫画の締め切りに追われる麻子さん(小泉今日子)を愛猫のサバが見つめています。 仕事場からソファの上のサバを切り返しで捉えるショットが繰り返されて、二度めにはその姿はまるで亡霊みたいな人間(大後寿々花)になっている。 サバは麻子さんの丸い背中に「さようなら」とそっと囁いて、ひとり(一匹)、あの世へと去っていきます。 睡魔と戦いながらカリカリとペンを走らせる麻子さんはその声に気づきません。 ...続きを見る

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2008/09/27 10:53
『12人の怒れる男』、ロシア的ということ。
ロシアという国の面白さは、たぶん、体制が変わり国の名が変遷しても、ロシアらしさが生き続けているところにあります。 もっとも、問題はそのロシアらしさとは何なのか、ということですね。 僕にはその説明として最も的確だと思われるのが、『あまりにロシア的な。』(1999年青土社刊)の亀山郁夫氏の言葉です。 ちょっと乱暴にまとめさせていただくとこうなります。 「『ロシア的』なるものとはソビエト社会主義でもヨーロッパ資本主義でもな」く、「歴史のやり直しを何度も強いられ」、「失敗の歴史を生き、断絶の歴史... ...続きを見る

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2008/09/24 23:34
シネマのリハビリカプセル 第1回 『魂を救え!』
この国で「空白の10年」と呼ばれている時期と同じ頃に、僕もまた映画的な「空白の10年」を過ごしていました。 その「空白の10年」を少しでも埋めたいということで、『シネマのリハビリカプセル』と題するシリーズエントリーを始めることにしました。 何とも仰々しいタイトルですが、要するに「空白の10年」間に公開された主だった映画をビデオやDVDで見てレビューしようじゃないか、と。 このブログの映画レビューは基本的に新作映画ですから、区別するためにこんなタイトルをつけてみたわけです。 ...続きを見る

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2008/09/21 23:46
『パコと魔法の絵本』、触覚の記憶
ひと晩眠ると前日の記憶をなくしてしまうパコ(アヤカ・ウィルソン)。 まあ、この子の可愛いこと。 忘れてしまうといけないので最初にちゃんと書いておきますが(笑)、この子を見るだけのために映画館に足を運んでもいいほどでしょう。 何をバカなとおっしゃるかも知れませんが、そもそも映画というのはそんなものなんです(笑)。 ...続きを見る

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2008/09/17 01:07
『ウォンテッド』、始まりが終わりを撃つ?
改めて自分自身に確かめるのですが、このブログの映画レヴューではなるべくその映画を評価したい。 そう思いながら、可能なかぎり肯定的なレビューを試みているわけです。 なぜなら公開されるほとんどの映画は、傑作でもあるいは失敗作でさえもなくて、凡庸な作品だからです。 もちろん駄作をあえて「これは駄作だ」と宣言することに意味がないわけではありません。 が、それはあまり僕の趣味ではないし、他の人にまかせておくことにしようと(笑)。 もちろん、僕を含めほとんどの人は観たすべての映画のすべてのシーンを... ...続きを見る

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2008/09/16 22:26
『幸せの1ページ』、神からの落としもの
この映画の主な登場人物は3人。 ニム(アビゲイル・ブレスリン)、ジャック(ジェラルド・バトラー)のルソー父娘と冒険小説作家のアレクサンドラ(ジョディ・フォスター)です。 物語は海に観測に出たジャックのヨットが嵐で難破するところから始まるんですが、そのときから、この三人のそれぞれに一つずつテーマが割り当てられることがわかります。 島へ「帰還」するジャック、ニムを助けるべく島への「到達」を目指すアレクサンドラ、そして二人を「待つ」ニム。 映画はこの三つのテーマをめぐって語られ、それが達成され... ...続きを見る

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2008/09/13 11:27
『ハンコック』、自分の身を投げるということ。
ハンコック(ウィル・スミス)の癖は、すぐに物を投げることです。 車を放り投げてビルの尖塔に串刺しにしたかと思えば、死んで打ち上げられた鯨を海に投げてヨットを沈めてしまう。 いじめっ子のミシェルだって生意気な口をきくからと空高く放り上げてしまう。 もちろんこのハンコックの行動は、どこかの政党総裁がすぐに首相の責任を放り投げることへの揶揄ではないんですが、その「投げやり」な態度が人々の非難を招くことは確かなわけですね。 でも実はそれは逆なんだと考える人間もいて、その代表がレイ(ジェイソン・ベ... ...続きを見る

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2008/09/03 16:19
『ベガスの恋に勝つルール』の節度
ジョイ(キャメロン・ディアス)のボス、バンガー(デニス・ファリナ)に招かれて保養所で過ごしたジョイとジャック(アシュトン・カッチャー)の二人には、もうお互いがひかれあっていることがわかっています。 パーティーでファースト・ダンスさえ踊り、唇を重ねあう二人にはもう何の障害もないように見えるんですね。 そのときのジョイといえば、見事にセットしたブロンドの髪、それにコーディネイトしたゴールドのチューブトップドレス。 まあ、紳士でなくても男はみんな金髪が好きですから(笑)、それまでいろいろあったっ... ...続きを見る

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2008/08/16 10:19
『ダークナイト』、擬態との戯れ
バットマン(クリスチャン・ベイル)が闇の騎士(Dark Knight)ならハーヴェイ・デント検事(アーロン・エッカート)は光の騎士(White Knight)です。 二人はいわば表裏一体というわけで、だからでしょうか、ハーヴェイにはコイントスでものごとを決める癖があります。 もっとも最初は「どちらも表」というコインを使用していて、そのあたりが彼が表=光の騎士たるゆえんなんでしょう。 でもレイチェル(マギー・ギレンホール)を失い、彼がニックネームの「Two Faces(二つの顔)」そのままの... ...続きを見る

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2008/08/15 17:34
『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』、パリの光
21世紀に多少なりとも映画に興味を持ちつつ生きていながら、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の作品を観ることがないというのは、一つの不幸だと思います。 いや、逆の表現が正しいでしょうか。 侯孝賢監督の作品を観るということは、一つの幸福を手に入れることだと。 ただし、それは同時に一つの不幸を手にすることでもある、という条件つきなんですが。 つまり僕たちは、たぶん、侯孝賢監督の作品を観てしまうことで、自分の不幸と幸福のそれぞれ半分ずつをくしゃくしゃに丸めてゴミ箱に投げ入れ、その代わりに別の不幸... ...続きを見る

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2008/08/04 16:07
『ハプニング』、シャマラン的家族再生の儀式。
タイトルの『THE HAPPENING』は名詞ですから、出来事、事件というほどの意味です。 でもこの場合、原義に戻り、現在進行形の名詞化で「起こりつつあること」と解釈する方が近いかも知れません。 人々の周辺で、今起こりつつあること。 何が起こりつつあるのかはわかりません。 何しろ現在進行形ですから、登場人物たちにも、観ている僕たちにも、そしてたぶん監督自身にも、それはわからないわけです。 人類は滅亡するのか? あるいは生き延びることができるのか? もちろんそんなこと、誰にもわかるは... ...続きを見る

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2008/08/03 15:45
『百万円と苦虫女』、横たわる苦虫女
主人公の鈴子(蒼井優)が起こしてしまった些細な事件。 その事件の前後で、鈴子の行動には二つの変化があります。 ...続きを見る

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2008/08/02 16:23
『たみおのしあわせ』、男なら走るべし。
この映画には、移動手段としての自家用車が出てきません。 もちろん道路には車が走っていますし、移動シーンがないわけでもない。 しかし登場人物たちが車に乗るシーンはないんです。 彼らの移動手段はもっぱら自転車か徒歩、あるいは電車です。 配達レディたちは毎朝自転車に乗って担当区域へ散っていき、民雄(オダギリジョー)と瞳(麻生久美子)は、小津監督の作品を思わせるような爽やかさでサイクリング・デートを楽しむ。 配達レディの一人であり民雄の父(原田芳雄)の恋人でもある宮地さん(大竹しのぶ)は、通勤... ...続きを見る

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2008/07/28 10:15
『イースタン・プロミス』は「3」でアホになる。
『イースタン・プロミス』の人間関係は、「3」を基本ユニットに構成されています。 たとえば、ロシアン・マフィアのボス、セミオン(アーミン・ミューラー=スタール)とその息子キリル(ヴァンサン・カッセル)と運転手のニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)の3人。 看護士アンナ(ナオミ・ワッツ)と母ヘレン(シニード・キューザック)と伯父ステパン(イエジー・スコリモフスキー)の3人。 会話の中でわかることですが、伯父ステパンには妹がいて、つまり母ヘレンと伯父ステパンは3兄妹でもあります。 また映画の冒頭、... ...続きを見る

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2008/07/19 18:42
『近距離恋愛』、犬を愛する男
トム(パトリック・デンプシー)は犬が大好きで、街角や立ちよった店の中で犬を見つけるたびに体中を撫で回してはキスをします。 「女たらし」のトムがなぜ犬を好きなのかというと、たぶんその気になったときの女性の表情が、犬がエサを欲しがるときの顔に似ているからかも知れません。 もちろん、そんな風に犬に喩えているのは僕ではなくてトム自身です。 ...続きを見る

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2008/07/15 20:09
『告発のとき』の星条旗
この映画の原題は『エラの谷で(IN THE VALLEY OF ELAH)』。 旧約聖書サムエル記に由来し、ペリシテ軍とイスラエル軍とが対峙する中、巨人ゴリアテに少年ダビデが挑んだ地とされます。 もともと『Death and Dishonor(死と不名誉)』と題されたルポを映画化するにあたり、ポール・ハギス監督がこのタイトルを選んだ理由は、「エラの谷」とイラク戦争を重ね合わせたからなんだそうです。 なぜ若いアメリカ人を「エラの谷」に送りこむのか? でも監督の言葉を律儀に受け止める必要はな... ...続きを見る

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2008/07/12 17:13
『西の魔女が死んだ』、サチ・パーカーの陽だまり
おばあちゃん(サチ・パーカー)が客を迎えるテーブルがあります。 窓際の穏やかな日差しの中、桟の上にはおじいちゃんの写真と一輪挿し。 おあばちゃんは来客があると、決まってこのテーブルについて、ハーブを浮かべたお茶を一緒に飲むんですね。 彼女はまるでこの暖かい陽だまりのような人で、演じるサチ・パーカーにはハマり役と言っていいでしょう。 もっとも、この映画が彼女のキャリアにとって幸福な作品と言えるかどうかはわかりませんが。 ...続きを見る

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2008/07/03 01:26
『ぐるりのこと。』のぺろりのこと。
夏目先輩(木村祐一)と一杯やって法廷画家の仕事を紹介され、カナオ(リリー・フランキー)が帰ってくる。 すると浮気を疑った翔子(木村多江)が、マッサージ師に教えられた通り彼の手の甲をぺろり、と舐めるんですね。 もちろんカナオからのお返しはなくて、そのままちょっとコミカルなやりとりを挿んで二人が夜の営みに入るまでを、カメラは長回しで見せてくれます。 ...続きを見る

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2008/06/26 10:24
『山のあなた 徳市の恋』の慎み
最初にお断りしておきますが、僕はこの映画のオリジナルである清水宏監督の『按摩と女』(1938)を観ていません。 ですから僕はこの『山のあなた 徳市の恋』を語る資格を半分以上欠いているわけですので、どうにか残りの半分のところでご容赦いただけないものかと思っています。 ...続きを見る

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2008/06/25 08:14
『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』、戻すということ。
たとえばどうして三谷幸喜監督の『マジック・アワー』にあまり食指が動かされないかというと、決して退屈な思いをするだろうと思っているわけではなくて、観る前に自分が「たぶんこのあたりじゃなかろうか」と下した値踏みと、たぶんほぼ過不足のない作品に仕上がっているだろうからです。 それがロン・ハワード監督なら、その都度上方あるいは下方に大きく値踏みが外れて、いったい本当に同じ監督が作品を撮っているのだろうかと疑ったりするわけですけど、三谷監督の場合は、いつもほどよく三谷監督の作品として収まっているんですね... ...続きを見る

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2008/06/15 23:14
『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』、与えられている男女のおとぎ話
ちょっと破廉恥なパーティーからワシントンに戻ったチャーリー(トム・ハンクス)が、補佐のボニー(エイミー・アダムス)と会話しながら登院し、テレックスで届いたアフガン情勢に目を通します。 そこですぐさま彼は、議会の承認を必要としない極秘予算から、アフガン対策費を倍にするよう指示する。 ...続きを見る

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2008/06/03 12:42
シドニー・ポラック氏の死によせて
シドニー・ポラック氏の最後の作品は、『フィクサー』ということになりました。 この映画をプロデュースした彼は、主人公が所属する弁護士事務所の経営者役で出演してもいます。 スクリーンではいたって元気そうに見えたのですが、実際はそうではなかったのでしょうか。 ...続きを見る

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2008/05/28 10:28
『最高の人生の見つけ方』のエベレスト
カーター(モーガン・フリーマン)とケンカ別れをして旅行から戻ったエドワード(ジャック・ニコルソン)が、会議の席で部下たちに突然「ダンテの『神曲』を読んだことがあるか?」と尋ねるシーンがあります。 そこで僕たちは、この映画の構成が『神曲』を意識しているだろうことに気づきます。 ...続きを見る

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2008/05/26 23:10
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』、男は黙ってツルハシ!
冒頭、荒涼とした西部の景色から、ツルハシを振り下ろすダニエル・プレインビュー(ダニエル・デイ=ルイス)の描写で映画は始まります。 彼は自分が掘った穴を登り、降り、ツルハシを振る。 ダイナマイトを仕掛け、首尾を確かめるためにはしごを降りようとしたとき、踏み板が外れてダニエルは転落してしまいます。 それでも彼は、散乱する岩盤の破砕の中に鈍く光る金を見つけだし、仰向けに寝たまま地を這いずってその金屑を売りにいきます。 ...続きを見る

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2008/05/13 11:43
『フィクサー』、隠す女
『フィクサー』の見どころのひとつは、ティルダ・スウィントン演じるカレン・クラウダーでしょう。 彼女は農薬会社の法務部本部長で、集団訴訟の担当者です。 彼女に課された仕事は、農薬被害の実態を隠し、できれば集団訴訟に勝利すること。 映画はこの薬害隠蔽をめぐって展開されます。 ...続きを見る

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2008/05/08 17:17
『ランジェ公爵夫人』の海鳥
モンリヴォー将軍(ギョーム・ドパルデュー)の求愛に、ランジェ公爵夫人(ジャンヌ・バリバール)は頑なに最後の一線を超えることを拒んでいます。 二人の恋のゲームは何ヶ月もの間、同じような攻防を繰り返します。 しかしモンリヴォー将軍に拉致され彼の隠れ家に連れこまれて、とうとうランジェ公爵夫人は彼のものとなる覚悟を吐露するんですね。 相手の所有物となる、相手を我が物とする、恋ならではのエロティックな歓喜と恍惚が画面中に満ちあふれた感動的なシーンです。 ...続きを見る

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2008/05/01 00:13
『マイ・ブルーベリー・ナイツ』、帰る女と待つ男。
主人公のエリザベス(ノラ・ジョーンズ)は、自分を捨てた男の部屋の灯りを通りの反対から眺めながら、その通りを渡る勇気を持てないでいます。 通りを真っ直ぐに渡ることができない彼女は、そこで、ちょっと「遠回り」をしようと旅に出ます。 そんな彼女がどうやってその場所に帰還するのか。 大ざっぱに言ってしまうと、この映画はそういう物語だということになります。 ...続きを見る

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2008/04/15 21:44
『ノーカントリー』、疎外された主人公
weekly? どころか monthly? の更新になってしまってます。 とにかく体調がすぐれないのが原因なんですが、まあ、それは言いわけでしょうか。 どうぞご容赦ください。 ...続きを見る

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2008/04/09 02:12
抑圧の分身化、『エリザベス:ゴールデン・エイジ』と『ライラの冒険 黄金の羅針盤』
何も「ゴールデンつながり」というわけではないんですが、直近に観た二本の映画を比較するという悪い癖があって(笑)、そんなわけで『エリザベス:ゴールデン・エイジ』(ELIZABETH: THE GOLDEN AGE)と『ライラの冒険 黄金の羅針盤』(THE GOLDEN COMPASS)をまとめてレヴューします。 ...続きを見る

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2008/03/05 10:46
『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』の鏡と剃刀
年末からドタバタしていたせいで、2月も終わろうとする今になって、これが今年初めてのエントリーです。 とにかくまあいろいろありました。 様々なところで様々な人にご迷惑をかけ、それがようやく落ち着きつつあるところです。 そんなわけで二ヶ月のブランクがあった拙ブログ、この間訪問していただいた方々には、新しい記事が一向にアップされず無駄足を運ばせることになった失礼をお詫びします。 少しずつブログもペースを戻していきますので、これに懲りず今年もよろしくどうぞ。 ...続きを見る

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2008/02/26 10:19
『眠れる美女』の老い
主人公のエドモンド(ヴァディム・グロウナ)は、いつも煙草を吸っています。 でもその姿は、たとえば『勝手にしやがれ』(1959年、ジャン=リュック・ゴダール監督)のジャン=ポール・ベルモンドのカッコよさにはほど遠い。 そこに「老い」があるんですね。 確かに、彼が階段を昇る冒頭のシーンから、すでに彼が老いていることは明らかに見て取れるし、「眠れる美女の館」での最初の夜の、ベッドに横たわる少女のしなやかな指と、あちこちにシミが浮かんだエドモンドの手の対比は決定的でもあります。 でもそれ以上に、... ...続きを見る

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2007/12/20 23:16
『エンジェル』の隠された視線
僕が『エンジェル』を観にいったのはシャーロット・ランプリングのため、と言ったら、フランソワ・オゾン監督に失礼でしょうか。 でもそれほどに、思春期の頃に観た『愛の嵐』(1973年、リリアーナ・カヴァーニ監督)のシャーロットは鮮烈だったわけで、当時一緒に映画館に足を運んだ仲間は、みんな、映画よりも彼女にやられてしまったんですね。 ダーク・ボガード扮する元ナチ党員の愛玩少女という役どころでした。 ...続きを見る

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2007/12/14 00:11
映画『マリア』の二つの旅
映画『マリア』は二つの旅を描いています。 もちろん新約聖書の『マタイによる福音書』と『ルカによる福音書』とを、うまく重ね合わせて再構成したものなんですが、大切なのはそれが運動論的な構造を作り上げていることです。 ...続きを見る

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2007/12/06 16:18
『ベオウルフ -呪われし勇者-』のアンジェリーナ・ジョリーに男はオチるか?
最初に、僕が観たのは2D版だということをお断りしておきます。 ...続きを見る

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2007/12/05 00:14
『ボーン・アルティメイタム』、飛ぶ、跳ぶ、そして飛ぶ。
とにかくジェイソン・ボーン(マット・デイモン )は飛びます。 彼は座ることはおろか立ち止まることさえほとんどしないで飛び続けているんです。 ロンドン、パリ、マドリッド、タンジール(タンジェ)、ニューヨーク。 国境を軽々と越えて飛び回り、タンジールでは屋上から屋上、窓から窓へと跳び移ってさえいます。 ですから最後の彼のダイブは、それまでの語りの中で、予告というか約束済みの行動と言っていいんでしょう。 ...続きを見る

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2007/12/04 13:07
『ウェイトレス 〜おいしい人生のつくりかた』、二重の鈍感さ。
「ジョーのパイ」の店のドレスルームで、便座に腰を下ろしたジェンナ(ケリー・ラッセル) が妊娠検査をしているところから映画は始まります。 同じようにジェンナが座っているところを正面からとらえるショットは、この映画の中で何度も繰り返されています。 たとえばこのすぐ後には、ジェンナが仲間であるベッキー(シェリル・ハインズ)、ドーン(エイドリアン・シェリー)とともに店の前のベンチに座って、夫であるアール(ジェレミー・シスト)が車で迎えに来るのを待つシーンが続く。 産婦人科ではパイを両手に診察室の椅... ...続きを見る

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2007/12/01 17:49
『フライボーイズ』、トンボの交尾
『フライボーイズ』というのはもちろん飛行機乗りのことです。 そう断った上で言いますが(笑)、cowboy が牛追いですから、flyboy は虫追いでもいいのかもしれません。 主人公のひとりローリングス(ジェームズ・フランコ)は牧場の跡取り息子で、父親が多額の借金を残して他界し、牧場を差し押さえられてフランスへ渡ります。 そこで彼は cowboy から flyboy になるわけです。 カウボーイが馬に乗って牛を追うなら、フライボーイになった彼らが追うのは、通俗的な比喩ですが、虫というよりト... ...続きを見る

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2007/11/29 13:20
『グッド・シェパード』、清算する男
普通「信頼関係」というのは、お互いが対等であったり均衡が保たれたりしている状態、たとえばお互いに何の貸借関係ない状態、そうした中で育まれるものだと、僕たちは考えるんじゃないでしょうか。 でも『グッド・シェパード』の登場人物たち、とくに主人公のエドワード(マット・デイモン)にとってはそうではないようです。 エドワードにとって、「信頼関係」というのは、ある種の不均衡、たとえばどちらか一方が他方に、貸しあるいは借りがある場合にのみ築かれるんですね。 ...続きを見る

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2007/11/20 15:20
『バイオハザードV』、ジョヴォヴィッチのブーツ。
砂に埋もれた自由の女神。 『バイオハザードV』の予告編でこのシーンを見た人は、『猿の惑星』(1968年、フランクリン・J・シャフナー監督)のラストを思い出したんじゃないでしょうか。 T-ウィルスの蔓延により荒廃した地球と、核戦争によって砂漠化した地球とが、作り手の中で重なり合ったのかもしれません。 と言っても、『バイオハザードV』と『猿の惑星』が交錯するのはたぶんその一瞬だけで、映画はSFというより西部劇的な舞台装置の中で展開されます。 ...続きを見る

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

2007/11/16 01:04
『ブレイブ ワン』、エロスと死の戯れ?
エロスと死は表裏一体。 ニール・ジョーダン監督は、とりあえずそう言ってみたいんでしょうか。 そうでなければ、エリカ(ジョディ・フォスター)の手術シーンに、彼女と恋人デイビッド(ナビーン・アンドリュース)との性交シーンを重ね合わせるというような、ちょっと悪趣味な演出はしないでしょう。 ...続きを見る

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2007/11/03 09:47
『僕がいない場所』の眼差し
気がつけば最後の更新から2ヶ月ほどが過ぎてしまいました。 まあ、このサボり癖は以前から変わらないので、長くおつきあいいただいている方なら、「またか」と苦笑いしながら肩をすぼめてやり過ごしていただけたでしょうか。 ええ、そう、またやってしまいました(笑)。 間隔があいたときは、時事ネタで再スタート、ということがこれまでは多かった気がしますが、今回は映画のレヴューです。 『僕がいない場所』、ポーランドのドロタ・ケンジェルザヴスカ監督の作品ですね。 ...続きを見る

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2007/10/27 00:12
『消えた天使』の無国籍さ
『インファナル・アフェア』など、アラン・マック監督とコンビを組むことが多かったアンドリュー・ラウ監督が、単独で撮ったハリウッド作品です。 ...続きを見る

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2007/08/21 00:06
『天然コケッコー』の黒板
槇村さとる(1956年生)ならTVドラマだし、吉田秋生(1956年生)はすでにお手つきで、岩館真理子(1957年生)じゃちょいと文学的すぎるか。 同年代ならくらもちふさこ(1955年生)はどうよ? 何となくコマ割が映画のカット割っぽいし。 と、いうわけでもないんでしょうが、とにもかくにも『天然コケッコー』という選択は間違ってなかったんじゃないかと思います。 ...続きを見る

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2007/08/08 23:21
『ゴースト・ハウス』はジェシカの背中とともに。
あれほど怖い映画は苦手と言っておきながら、また観てしまいました。 そりゃ好きってことなんじゃないの? と言われそうですが、そうなのかもしれません(笑)。 苦手ということと嫌いということはイコールではないんでしょう。 ...続きを見る

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2007/07/25 22:12
『石の微笑』、彼女は二度彼の家にやってくる
映画というのは、たとえば「良質のB級映画」というたぐいの、何となくわかりやすようでいて結局は何も語ってはいないような言葉で評してはいけない。 そんな当たり前の事実を、『石の微笑』のような映画は改めて教えてくれます。 もっとも、本来それは映画以外のことについても同じで、たぶん「美しい国日本」なんて言葉に酔いしれる怠惰な精神は、映画ファンには許されないことなんでしょう。 ...続きを見る

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2007/07/24 17:11
映画『魔笛』のカタルシス
映画館に足を運ぶときはなるべく先入観をすてなきゃいけない、と常々思ってはいるんですが、『魔笛』のような作品になると、そうは言ってもやはり観る前から内容を予想してしまうわけです。 なにしろモーツァルトの『魔笛』の「完全映画化」(!)です。 「完全映画化」の意味するところは不明ですが、この手のキャッチコピーの映画はたいていハズレるんじゃないかと(笑)。 ...続きを見る

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2007/07/18 23:57
『傷だらけの男たち』、優雅で感傷的なロング・グッドバイ
『インファナル・アフェア』が『ディパーテッド』としてリメイクされたように、この映画もレオナルド・ディカプリオでリメイクされる予定だと聞くと、さあ、ディカプリオとトニー・レオン+金城武、いったいどちらが魅力的だろうかと考えたりします。 個人的には後者なわけなんですけど、アジア映画をハリウッドでリメイクするという流れがこうも定着してくると、そんな皮肉をこめた比較もしてみたくなるというものです。 ...続きを見る

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2007/07/12 22:17
『ボルベール<帰郷>』を受け入れる?
ペドロ・アルモドバル監督の映画は、実はちょっと苦手です。 どこをどう観ても映画なのに、ふとした一瞬に演劇的なものを感じてしまうからです。 とくに『オール・アバウト・マイ・マザー』(2000年)はその印象が強い。 ただこれはもうあまり根拠のない個人的な感覚で、映画の質とは無関係だと思います。 実際この『ボルベール』は、ほとんど演劇性を意識することなく、見通すことができたように思います。 ...続きを見る

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2007/07/06 01:03
『舞妓haaaan!!!』、行ったまま帰らぬ人
置屋に身を寄せた富士子=駒富士(柴咲コウ)が、おねえさんの駒子(小出早織)のお供をしていると、向こう(カメラの方)からやってくる人に気づいて傘を閉じる。 カメラが切り替わってそこにゆっくり歩いてやってきたのは斉藤老人(植木等)です。 彼はひとことふたこと戯言を口にして、二人の間を割るように通り抜けていきます。 見送る二人の会話をかぶせながら、カメラは遠ざかっていく斉藤老人の後姿をとらえています。 これが僕たちが観る植木等の最後の映画出演シーンで、たかだか10秒そこそこなんですが、それでも... ...続きを見る

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2007/07/04 14:09
『しゃべれども しゃべれども』、しゃべれども。
三つ葉(国分太一)の祖母・春子(八千草薫)が、縁側で壷から梅を皿に盛りながら、ついさっき三つ葉が噺すのを聞いたばかりの「まんじゅうこわい」を口にするシーンがあります。 庭に立って縁側の壷に箸を入れているところを家の中からカメラがとらえているんですが、このシーンがなかなかいい。 八千草薫のとぼけた演技ぶりも素晴らしいと思います。 いったいこの人、これまで孫の落語を聞いたことがなかったんだろうかなんて、疑問に思ったりしてはいけません(笑)。 彼女の可愛らしさが生きたシーンですね。 ...続きを見る

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2007/07/01 13:48
『監督・ばんざい!』、映画は映画である
映画はキタノ監督(北野武)の代理である人形が、健康診断を受けるシーンから始まります。 そしてそれに重ねるように、曇天の空の下、暗い表情で歩くキタノ監督の姿が差し挿まれ、映画作りに苦悩しているらしいことが伝えられる。 伊武雅刀のナレーションが、そんな事態になってしまった経緯について語ってくれるわけです。 で、後でわかることなんですが、このナレーションと同時に、映画自体とオーバーラップする形でキタノ監督の『Glory to the Filmmaker(監督・ばんざい!)』という作品がスタートし... ...続きを見る

面白い ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

2007/06/25 21:37
『大日本人』のネカマ的擬態。
レポーターが大日本人である大佐藤(松本人志)に同行しながら、収入や家族、仕事などについてとりとめもない質問をし、大佐藤がそれに答えていく。 その合間に巷間の人々へのインタビューや元妻への取材が挿入され、出現した獣(じゅう)との戦闘シーンが何度かCGで再現されたりします。 最後は「実写」による獣との格闘シーンの再現ですね。 ...続きを見る

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2007/06/21 17:44
『プレステージ』はマジックか?
マジックが「PLEDGE=確認」「TURN=展開」「PRESTIGE=偉業」と進行するなら、映画『プレステージ』もまた、同じように展開されるのでしょうか。 冒頭、カッター(マイケル・ケイン)がボーデン(クリスチャン・ベイル)の幼い娘にマジックの基礎について説明して聞かせるとき、僕たちにはそんな先入観が植えつけられます。 ...続きを見る

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2007/06/19 00:01
『あるスキャンダルの覚え書き』のベンチ
この映画には3度ベンチが登場します。 オープニング・シーンとラスト・シーン、そしてもう一度は、バーバラ(ジュディ・デンチ)とシーバ(ケイト・ブランシェット)が並んで腰掛けて話すシーンです。 ...続きを見る

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2007/06/18 13:44
『女帝 [エンペラー]』を観て『ウィンター・ソング』を再評価する。
チンニーを演じるジョウ・シュンの前作は、金城武と共演した『ウィンター・ソング』(ピーター・チャン監督、2005)というミュージカル映画。 前回もなかなかつらい役どころでしたが、今回も切ない準ヒロインを演じています。 『ハムレット』でいえばオフィーリアにあたる役ですね。 ...続きを見る

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2007/06/16 00:04
『インビジブル・ウェーブ』、物語のまどろみ
水面に浮かんで沖合いに流れ出たはずの木の葉が、いつしか、ほとんど不可視の波によって岸辺に舞い戻る。 『Invisible Waves』というタイトルには様々な意味がこめられていますが、その一つはそういうことだろうと思います。 ...続きを見る

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2007/06/14 10:21
ジャン=クロード・ブリアリの死、『クレールの膝』
5月30日にジャン=クロード・ブリアリが亡くなっていた。 遅ればせながら今日になって、僕はそのニュースを耳にした。 ...続きを見る

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2007/06/04 14:49
『スパイダーマン3』、大家の娘というネタふり。
友人ハリー(ジェームズ・フランコ)の言動に腹を立て、カフェからピーター(トビー・マグワイア)が飛び出していくシーンがあります。 外に出て、振り返ってカフェを見ると、ガラスの向こうでこちらに首を曲げたハリーがウィンクするんですね。 腹の中には邪なものを含んでいるというのに、それはもう、とても爽やかな笑顔なんです。 前後のシーンをカットしてここだけを見れば、どうということのない青春ドラマのひとコマに見えるかも知れません。 ...続きを見る

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2007/05/31 15:10
『リーピング』、不意打ちの罪。
そもそも僕は怖い映画が苦手なのでした。 だというのに、どうしてこの映画を選んでしまったんでしょう(笑)。 しかもこれは、物陰に隠れていていきなり後ろからわっと脅すタイプの映画ですから、心臓があまりよくない僕にはあまりおすすめではなかったはずなんですが(笑)。 何しろ僕は、次のカット替わりで来るぞ、とわかっていても、どっきりしちゃうぐらい臆病なんですよね。 もちろん、派手な効果音で不意打ちするのが悪いと言いたいのではありません。 これも立派な映画手法のひとつです。 ...続きを見る

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2007/05/25 17:13
熊井啓監督の訃報に
学生時代、縁あって熊井啓監督の映画の宣伝をお手伝いさせていだたいたことがあります。 監督と直接お会いすることはありませんでしたが、撮影を見学させていただいたこともあります。 「映画じゃメシは食えない」とシニカルなもの言いを好んでしていた若かりし頃の話です。 ...続きを見る

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2007/05/24 13:25
『ハンニバル・ライジング』、エロスから遠く離れて
生け花で切ってしまったハンニバル(ギャスパー・ウリエル)の指を、義理の叔母レディ・ムラサキ(コン・リー)が針と糸で縫い合わせていく。 指の腹にぱっくりと縦に大きく開いた傷口がアップで映されて、皮膚に刺された針が、黒い糸で傷をふさいでいくんですね。 血を見るのは苦手という人はこう聞いただけで敬遠したくなるかも知れませんが、実際にはそれほど戦慄するようなシーンではなくて(笑)、むしろどうということのない描写になっています。 ...続きを見る

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2007/05/23 23:41
『スモーキン・エース 暗殺者がいっぱい』、最後のエースをねらえ!
原題の『Smokin' Aces』はエース(ジェレミー・ピヴェン演ずるイズラエル)を殺す、というほどの意味なんだそうです。 smoking は銃口から立ち上る硝煙をイメージしたスラングで、似たような使い方に「smoking gun」、犯罪の決定的な証拠、というような表現があるそうです。 そうすると、邦題が読みをカナにしただけなのは、直訳だと『エースをねらえ!』になってしまうからなんでしょうか(笑)。 ...続きを見る

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2007/05/18 17:32
『クィーン』、そして女王は鹿狩りへ。
『太陽』の昭和天皇(イッセー尾形)は平家ガニの研究に没頭し、『マリー・アントワネット』のフランス王妃(キルスティン・ダンスト)は夜会と賭博と密会に明け暮れる。 この『クィーン』のエリザベス女王(ヘレン・ミレン)はというと、ロンドンの狂騒をよそに、毎日のように夫エディンバラ公(ジェイムズ・クロムウェル)と鹿狩りに出かけています。 ...続きを見る

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2007/04/29 19:00
『サンシャイン 2057』、メデューサを愛したイカロス
言うまでもなく、この映画に登場する宇宙船の名「イカロス」はギリシャ神話に由来します。 神話では、飛ぶことに夢中になったイカロスが太陽神ヘリオスの怒りを買い、太陽の熱で翼の蝋が溶けて海に墜落してしまうのでした。 ...続きを見る

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2007/04/25 01:26
『蒼き狼 地果て海尽きるまで』、匂い立つモンゴルの土煙
久しく観ていなかった澤井信一郎監督の作品。 だからどうしても観ておきたくて、遅ればせながら映画館に足を運ぶことになりました。 巷間の評で芳しくないとなると、なおさらこの眼で観て、悪評を覆したくなるというのは相変わらずでもあります(笑)。 ...続きを見る

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2007/04/20 10:10
『叫(さけび)』、どちらでもないということ。
「(建物を)作るわけでも壊すわけでもない」、何とも黒沢清的な土地での殺人事件からこの映画は始まります。 岸のこちら側と向こう側の対峙というよりは、その間に流れる神田川が存在論的に意味を持っていた『神田川淫乱戦争』以来、この「どちらでもない」風土こそ彼の映画が成立する絶対条件なのかも知れません。 大切なのは、何かと何かの中間にあることではなくて、たぶん、その「どちらでもない」ことなのではないかと思います。 ...続きを見る

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2007/04/01 13:13
『ディパーテッド』、擬装というシェルターが守るもの
冒頭、ローリング・ストーンズの『ギミー・シェルター』が流れる中、カトリックとアイルランド移民について語るコステロ(ジャック・ニコルソン)の声がオフでかぶります。 ...続きを見る

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2007/03/12 10:16
『さくらん』を試写で見る
『マリー・アントワネット』がフランシス・コッポラ氏の娘、ソフィア・コッポラ嬢の映画なら、『さくらん』は蜷川幸雄氏の娘、蜷川実花嬢の手による映画です。 映画監督を父にもつ写真家、ソフィア嬢と実花嬢の映画を奇しくも二週続けて見ることになりました。 ...続きを見る

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2007/02/19 16:16
『マリー・アントワネット』は楽しい映画なんだろう、たぶん。
ヴェルサイユ宮殿でロケ、と聞いて、ちょっとイヤな感じを覚えたのは僕だけではないでしょう。 しかもふだん立ち入り禁止の区域まで、フランス政府が撮影許可を出したんだそうです。 それはそれでスゴイことに違いないんだけど、こうしたケースでは、往々にして映画が「器」に負けてしまう。 それが「イヤな感じ」の正体なんですね。 で、残念ながら、それはやっぱり当たってしまったようです。 ...続きを見る

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2007/02/14 13:43
『愛の流刑地』と「納豆ダイエット」
豊川悦司、寺島しのぶ、佐藤浩市、、、どんなに輝かしい俳優の名前を連ねても、それだけで映画自体が光るわけではない。 そんな単純なことを教えてくれるのが『愛の流刑地』という映画です。 ...続きを見る

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2007/01/22 16:00
『あるいは裏切りという名の犬』、動く男・待つ女
遅ればせながら、今年もよろしくお願いいたいします。 2007年は、昨年末見そびれた映画『あるいは裏切りという名の犬』のレビューからスタートです。 ...続きを見る

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2007/01/17 14:35
『ダニエラという女』、かわいいドパルデュー
僕が『ダニエラという女』を観るために映画館まで足を運んだのは、モニカ・ベルッチの裸身を見たかったからではなく、ジェラール・ドパルデューを見たかったからです。 幸い、今年中に彼が主演する映画をもう一本(『あるいは裏切りという名の犬』)、観られそうなのがうれしい。 ドパルデューは僕が好きな俳優の一人です。 ...続きを見る

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2006/12/26 17:28
『シャーロットのおくりもの』のさがしもの
『エラゴン 意志を継ぐ者』のタタリでしょうか(笑)。 シエンナ・ギロリーが柴咲コウに似ているなんて書いてしまったせいか、『シャーロットのおくりもの』のファーン(ダコタ・ファニング)が安達祐美に、ファーンの父(ケビン・アンダーソン)がフィリップ・トルシエ元サッカー日本代表チーム監督に見えてしまいます。 いや、そう思えばそう見えなくはないという程度のことなんですが。 ...続きを見る

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2006/12/25 17:44
『エラゴン』を観て気になる『どろろ』の出来。
ほとんど問題にさえならないようなご都合主義のシーンが連続する『エラゴン 遺志を継ぐ者』の中で、一つだけさらりと流せそうにはないことがあります。 ...続きを見る

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2006/12/24 12:27
『硫黄島からの手紙』、善悪の彼岸にある笑み
善いアメリカ人と悪いアメリカ人がいる、と『硫黄島からの手紙』のイーストウッド監督は嘯きます。 善いアメリカ人というのは、たとえば栗林中将(渡辺謙)であり、悪いアメリカ人というのは日本人捕虜を「足手まといだから」と殺してしまうような兵士たちのことです。 同じように、善い日本人と悪い日本人がいることも、僕たちは知っています。 善い日本人とは、たとえばバロン西(伊原剛志)のことであり、悪い日本人とは、栗林中将の命令に背く下士官たちのことです。 ...続きを見る

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2006/12/19 11:23
『麦の穂をゆらす風』、だから男たちはハンチングをかぶる。
「誰と戦うのかはすぐわかる。だが何のために戦うのかが重要なんだ」と、デミアン(キリアン・マーフィー)はダン(リーアム・カニンガム)から学びます。 戦う相手は、観ている僕たちにもすぐにわかるんですね。 そう、軍帽をかぶっている者と、それを支援する者たちです。 それがこの『麦の穂をゆらす風』の厳密なルールだと言っていいと思います。 ...続きを見る

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2006/11/29 00:44
『ミレニアム・マンボ』に夕張を憂う
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督の『ミレニアム・マンボ』(2001)に、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」を迎えようとしている夕張市のシーンがあります。 カメラは、通りに面した家々の二階の窓に掲げられた映画の看板をなめながら、雪の降り積もる中、戯れながら歩いていくビッキー(舒淇[スー・チー])たちを追っていきます。 翌朝、通りのわきに積まれてできた雪山にビッキーが顔をうずめて顔型を作るシーンは、観ているとわけもなく涙がにじんできてしまうものです。 ...続きを見る

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2006/11/28 00:18
「トゥモロー・ワールド」を侮ってはいけない
舞台はイギリス。 だから、たいてい地面は雨に濡れ、ぬかるんでいる。 靴をダメにしてしまったテオ(クライヴ・オーウェン)は、自分に合う靴が見つからないままビーチサンダルに履き替えて、キー(クレア=ホープ・アシティー)を人類救済団体「ヒューマン・プロジェクト」との約束の場所へ送り届けようとする。 薄日は差しているというのに、そのビーチサンダルで一歩踏み出すたびに「ぐちゃぐちゃ」と湿った音を立てる泥の中を、彼は彼女を連れて逃走するのだ。 ...続きを見る

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2006/11/26 12:23
『プラダを着た悪魔』、、、that's all!
出勤したミランダ編集長(メリル・ストリープ)は、決まってコートをアンドレア(アン・ハサウェイ)のデスクに投げつけます。 そして口癖は「That's all (以上)!」。 二つの振る舞いにどれほどの意味があるかを、考える必要はないでしょう。 ただ、まるでその二つのことが、彼女が会社で行う最も重要なことであるようにも思えます。 ...続きを見る

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2006/11/24 15:00
『ウィンター・ソング』、境界という幻。
扉の向こう側とこちら側とでは、いったい何が違うのでしょうか。 登場人物たちはあちこちで扉を開けては、こちら側から向こう側へ、向こう側からこちら側へと、行き来します。 結局のところ、向こうもこちらも、大して違いはないのではないでしょうか。 というより、そもそもその扉が本当に境界なのかどうか。 ...続きを見る

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2006/11/23 16:56
ロバート・アルトマン監督の訃報に。
ロバート・アルトマン監督が亡くなった(日経)。 ...続きを見る

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2006/11/22 14:45
映画『カオス(CAOS)』に学ぶこと
カオスには二つの意味があって、通常使われる「混沌」としてのカオスと、カオス理論で言われるカオスとはまったく別もの。 この映画で使われているのはカオス理論の方です。 ですから、「この映画のどこがカオス(混沌)なの?」なんて、間違っても聞いちゃいけないんです(笑)。 これはカオス(混沌)についての映画でも、カオス(混沌)をめぐる映画でもありません。 もちろんカオス(混沌)そのものでもありません。 といってカオス理論の映画でもない(笑)。 強いて言えば、カオス(科学用語)という言葉、または... ...続きを見る

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2006/11/18 11:06
『薬指の標本』 渇いた靴音、濡れる女
映画がR−18指定なら、このエントリーもR−18指定になるんでしょうか。わかりません(笑)。 ...続きを見る

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2006/11/03 12:44
『ブラック・ダリア』、よくできた映画の落とし穴
とりあえずことの真相らしきものはサスペンス映画らしくギリギリまで伏せておきながら、いくつかのプロットを適度に絡み合わせ、そこにスパイスとして男女の三角関係でもまぶしておこうか。 なにしろ、映画は「バランス」が大切だ。 「バランス」だよ、「バランス」。 試合の後半になってうまいことKO負けを食らうのも、八百長にだって「バランス」が必要だからだ。 後は、色調をちょいとセピアに落として、時代がかったセットで見た目をほどよく飾っておけば、それで一本B級映画のできあがり。 ...続きを見る

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2006/10/31 13:31
『百年恋歌』にため息を漏らす
秀美(舒淇[スー・チー] )をセミロングでとらえたカメラが、ゆっくりとパンを始めて、ビリヤードをする青年(張震[チャン・チェン])とボールを視野に収めながら、再び彼女のもとへ戻ってくる。 柔らかなカメラの眼差しが、微笑む秀美を温かく包みこむように見つめ、それだけでもう、青年が彼女に恋するだろうことがわかってしまう。 いったいぜんたい、どうして侯孝賢(ホウ・シャオシエン)という監督は、こんな風に映画を始めることができるんだろう。 侯孝賢監督はもちろん、誰もそんなことに答えてはくれないんだけど... ...続きを見る

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2006/10/30 13:45
『父親たちの星条旗』を作る無数で無名の顔たち
製作にスティーブン・スピルバーグの名前を見て抱いた一抹の不安は、映画が始まり、物語がゆっくりと動き始めたときには、すでにすっかり吹き飛んでいました。 やはりクリント・イーストウッド監督は、僕が杞憂するほどに、ヤワは人ではないのでした(笑)。 ...続きを見る

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2006/10/29 12:51
『天使の卵』に毛糸球みたいな微笑を。
21世紀に一人の映画作家になろうとするのは非常に難しい。 だから、僕たちは、映画の終わりに春妃(小西真奈美)が見せた毛糸球みたいな微笑を、映画が映画であることの難しさを教えてくれるこの映画に贈りたいと思うのです。 ...続きを見る

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2006/10/28 10:04
『トリスタンとイゾルデ』が教えてくれる映画の現実
製作総指揮にリドリー・スコットの名前があるのを見てちょっと不安になった上に、ムービーウォーカーの評価分布で5点満点の人と4点の人とを合わせると9割近くになるのを見て、よほどこの映画を観るのをやめようかと思ったのだった。 競馬は当たらないが(笑)、こういう予感は結構あたるのである。 ほとんどの人が「良い」と答える映画は、大抵つかみどころのないのない映画だったりするものなのだ。 ...続きを見る

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2006/10/25 01:46
『レディ・イン・ザ・ウォーター』の「ボチャン」はちょっと落ちる。
(ネタばれあり) ...続きを見る

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2006/10/15 12:00
『カポーティ』 〜その男は二度車から降りる
(ネタばれあり) ...続きを見る

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2006/10/14 00:27
『記憶の棘』に見る映画との距離。
なぜ『記憶の棘』を観ようと決めたのか忘れていた僕は、映画が始まってしばらくたってからやっと思い出すことができた。 ローレン・バコールである。 シャーロット・ランプリングのために『スイミング・プール』(2003)を観ようと思ったように、そもそもローレン・バコールのためにこの映画を選んだのだった。 ...続きを見る

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2006/10/12 14:49
『キングス&クイーン』、映画の養子・養子の映画。
ちょっとムーディに編曲された『ムーン・リヴァー』の調べが流れる中、街角をゆっくりとパンしたカメラが、車から降りるノラ(エマニュエル・ドゥヴォス)の脚と顔を切り返しショットでとらえ、そっくり引き返すように逆方向にパンしながら、歩き出した彼女を追いかけて画廊にたどり着き、その透明なウィンドウの表面を優しく愛撫し始めたとき、僕は間違いなくこの映画が好きになると確信しました。 渋谷でアンコール上映されている『キングス&クイーン』のオープニング・シーンです。 ...続きを見る

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2006/10/01 12:26
『ゆれる』の古さと『トリノ、24時〜』の新しさ。
『ゆれる』と『トリノ、24時からの恋人たち』を並列して語る必然なんてたぶんないのですが、一方は立ち見がでるロングラン、一方は封切り直後だというのにまばらな客席、となると、少しは『トリノ』に肩入れしたくなるというものです。 この二つの作品に、客数ほどの質の差はないと思うからです。 むしろ、どちらを人にすすめるかと問われれば、僕は『トリノ』と答えるだろうと思います。 ...続きを見る

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2006/09/20 22:45
『LOFT ロフト』、未決定という名の永遠の美。
(ネタバレあり) ...続きを見る

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2006/09/16 13:03
ウディ・アレンの『マッチポイント』は後に何を生むか。
さて、ウディ・アレンの映画です(笑)。 いったい、最後にウディ・アレンを観たのはいつのことだろうと思い起こしても、はっきりと記憶にありません。 その映画は何だったろうと思い起こしても、やっぱりはっきりと記憶していない。 それは単に僕が齢をとってしまったということだけが理由ではないでしょう。 そもそも僕にとって、ウディ・アレンの映画はどうにも印象が薄いのです。 だからもう何年も、あるいはもっと長いこと、僕は彼の映画から遠ざかっていたのでした。 しかしまあ、いい齢をして好き嫌いを言うのは... ...続きを見る

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2006/08/30 22:29
『太陽』、天皇という名の肉体。
この映画が予想以上に観客を集めることになったのは、昭和天皇のメモ書きらしきものが発見されたことと関係があるのでしょうか。 ...続きを見る

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2006/08/19 19:00
「映画」へのノスタルジー 『嫌われ松子の一生』
『下妻物語』は深キョンの特異なキャラクターに救われた作品だったけど、さて、『嫌われ松子の一生』はどうなんだろう。 そんな不安をもったまま、映画館に足を運んだのでした。 ...続きを見る

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2006/07/26 23:11
『ブロークン・フラワーズ』の居心地の悪さ。
ジム・ジャームッシュ監督の『ブロークン・フラワーズ』を、何とも言えない居心地の悪さを感じながら観たのは僕だけではないと思います。 もちろんその居心地の悪さがこの映画の最大の魅力だということは、最初に言っておかなければなりません。。 どうにも居心地が悪いというのは、僕たちがこの映画を前にしたとき、どこに自分の身をおけばいいのかよくわからないということなのでしょう。 そしてそれは同時に、主人公のドン(ビル・マーレイ)が感じている居心地の悪さでもあるかも知れません。 彼は「さようなら」と告げる... ...続きを見る

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2006/06/15 01:31
今村昌平の訃報に『ダ・ヴィンチ・コード』を観てしまう。
ロン・ハワード監督の新作と聞くと、なぜか観たくなってしまうから不思議です。 しかも観れば決まって後悔するのです(笑)。 『アポロ13』(1995)も『身代金』(1996)もそうだったというのに、やはりまた観てしまいました。 たぶん僕は『コクーン』(1985)が好きで、今となっては出来自体さえ疑問なんだけど、あの映画に出てくる幸福な老人たちについての記憶が、ロン・ハワードの代名詞になっているのかもしれません。 ...続きを見る

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2006/06/04 17:06
「アワーミュージック」の優しさ。
 病気をしたこともあって見ることができないでいたジャン=リュック・ゴダール監督の「アワーミュージック」をやっと見に行ってきた。 ...続きを見る

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2005/11/11 21:11
戦争の記憶、映画の記憶。
 昨夜(1日)は仕事をしながら「朝まで生テレビ」(テレ朝)を見ていました。さすがに仕事がはかどらなくなるので途中で消したのですが、およそ雰囲気を味わうことはできました。元帝国軍人の方々の座談会です。 ...続きを見る

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2005/07/02 17:03
増税より「ミリオンダラー・ベイビー」
 またぞろ、増税論議です。サラリーマン家庭を怒らせておいて、最終的には消費税率アップというところに落ちつくのでしょうか。 ...続きを見る

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2005/06/25 12:10
『刺青』
 昨年暮れの12月22日からパリでは増村保造監督の『刺青』が上映されていて、その紹介がリベラシオン紙のウェブサイトにアップされている。  この紹介によれば、すでに一昨年(2003年)の夏には『清作の妻』が公開され、また別の資料では90年代にも特集上映がなされたことがあるとのことなので、フランスの映画ファンにとって増村監督の名は初めて耳にするものではないようである。 ...続きを見る

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2005/01/08 00:43
『黄金の馬車』てんまつ。
 自分が書いている原稿がはかどらないときに、他の方のブログを読ませていただいて気分転換をすることがよくあります。  人の文章を読むのも仕事のうち、なんて、一応は理由をつけてるんですが、まあ、いやゆる、仕事から逃げるというやつです。原稿を売ってるんだか、原稿を書く時間を切り売りしてるんだかわからないような、こんなろくでもないもの書きでもそういうところだけは一人前らしいんです。 ...続きを見る

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2004/12/20 23:48
『カンフー・ハッスル』を見て
 アジア映画が元気だ。1980年代に見えていたその兆しは、90年代にはもうすっかり確かなものとなって、その流れは21世紀に入っても変わらない。  一方でハリウッド映画の凋落ぶりは目を覆うばかり。ここ数年、たとえば『Shall We Dance?』や『リング』をはじめとして、日本の映画がハリウッドで次々とリメイクされているのは当然の流れなんだろう。 ...続きを見る

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2004/12/19 13:03
『アカルイミライ』(黒沢清監督)を見て
 監督デビュー作の『神田川淫乱戦争』(1983年)以来、黒沢清監督の映画は公開されるごとにずっと見てきているつもりなのに、気がつくと、ぽろぽろ、見落としている作品が何本もある。  この『アカルイミライ』もそうで、2003年1月公開と言われると、えっ、いつの間に? と思ってしまう。それだけ僕が映画から離れてしまっているということなのかも知れない。  そんなわけで、DVDを借りて見ることにしたのでした。 ...続きを見る

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2004/12/08 12:12

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